転職/調査分析 2018.03.20
TVCMをつくる!?博報堂DYグループの中でアイレップはどう変わり続けるのか。~株式会社アイレップ インタビュー~

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    みなさん、こんにちは! シンアド就活の白メガネ野崎です。さて今日は、博報堂DYグループで、私の古巣でもあるデジタルエージェンシー、「株式会社アイレップ」さんにお邪魔しております。

    毎年学生からも人気のある企業ですが、同時に「アイレップさんと博報堂DYグループ内の他の企業と、どう違うの?」という声をよくもらいます。今回は、その疑問を解消するべくやってまいりました。

    お話しいただいたのは、最終面接にも登場する取締役の北爪さんと人事本部 執行役員の原さん。つまり偉い人、キーマンです。アイレップさんを選考する学生さんはもちろん、広告やマーケティングに興味のある全国の就活生は参考にしてください。

    そして、気になって志望度を上げてください(笑)しっかり野崎ゼミでアドバイスします。

     

    <お話を聞いた人>
    取締役CBDO
    北爪宏彰(きたづめ・ひろあき)さん

    人事部 執行役員
    原 麻子(はら・あさこ)さん

    博報堂DYグループのトップラインを拡張。
    デジタルが主流になる時代、グループ内で頭角を現すとき

    野崎 今日はお時間ありがとうございます。20周年おめでとうございます。今年もガンガン切り込んでいきますので、宜しくお願いします。

     

    さて、私自身が過去アイレップさんで働いていたこともあり、年々進化する私の古巣が今後どうなっていくのかがとても気になります。しっかりと理解して、学生とのコミュニケーションに活かしたいと思っています。

     

    博報堂DYグループとの関わり、特にDAC(デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社)さんと経営統合したことでどのように変わっていくのでしょうか?

     

    原さん はい、確かに、これまではインターネット広告を専門的に扱うインターネット広告会社でした。マーケティング全般を扱ったり、総合広告会社のようにブランディングのためのアイディア開発をしたりすることには必ずしも強くない部分がありました。しかし今、アイレップはいろいろな機能が充足した「本物のエージェンシー」へと変わろうとしています!

     

    野崎 おお!総合広告会社とも戦える組織を目指しているということでしょうか。もう少し詳しく教えてください。

     

    北爪さん 広告主を大きく分けると「マス広告などを主に行うメーカーを中心としたナショナルクライアント」と「デジタルマーケティングを主軸にビジネスを行うクライアント」の2つに分かれます。そのうち、ナショナルクライアントによるデジタルプロモーションの案件は、まず博報堂がフロントに立ち、そのバックでアイレップがインターネット広告のプロモーションを行うというフォーメーションが組まれていました。

     

    野崎 はい、私もその認識です。

     

    北爪さん しかし今、そのフォーメーションが変わろうとしています。クライアントから、アイレップも総合代理店のようにフロントに立ち、主はネットだけれど、時にはマスまで含めたコミュニケーション全体を司ってくれないか、という声が増えてきているんです。そういう流れの中で、アイレップは総合広告会社とは、別の特徴を持った、しかし並列のエージェンシーとして、これまで以上にさまざまなクライアントのニーズに対応できるように変化してきています。

     

    野崎 マスメディアを絡めたプロモーションも今までの博報堂さんを通しての業務ではなく、直接やりとりを行う会社になる、ということなのですね。就活生は「総合広告会社志向なので、アイレップさんの選考は希望しません」と言えなくなりますね。それでは、博報堂DYグループの他企業との違いはどのようなところにありますか。

     

    北爪さん 大前提として、当社は博報堂の売り上げを分割するための会社ではなく、博報堂DYグループのトップラインを拡張させることを期待されている会社です。そこがグループ内の他社との大きな違いだと思います。

     

    私は、博報堂出身者として、総合広告会社をリスペクトしていますが、広告主の多様化するニーズのすべてに総合広告会社が対応できるわけではありません。変化を求める総合代理店市場の中で、新生アイレップはクライアントにとって魅力的な新しい選択肢になれるのではないかと考えています。

     

    野崎 博報堂が受注した案件に取り組んでグループ内売上をシェアするのではなく、グループの売り上げを自らつくってアドオンしていく、ということですね。具体的にお話しいただける事例もあるんですか? 

     

    北爪さん 最近、フロントに当社が立ちCMをつくり当社から博報堂DYグループにCM用のTV広告枠のバイイングをお願いするケースがありました。従来のプロモ―ションは、TVCMがベースとなり、その後デジタルでどう展開するかを考えるプロセスが主流でした。しかし最近は、まずデジタルの中でどう認知や興味関心を拡げるかやビジネスにつなげるのかを作りこんだ上で、消費者とのタッチポイントをオフラインにまで拡大させていく、というプロモーションの考え方がではじめています。

     

    クライアントからも「アイレップが作ったデジタル動画の反響が良かったから、TVCMでも流したい」という声があがり、そのようにTVCMにまで当社が関与したケースが出てきているんです。

     

    野崎 アイレップさんがマス領域でも主導となり、グループ全体の売り上げを伸ばすケースが実際に増えてきているのですね。これは今までになかった流れです。デジタルコミュニケーションが世の中に広まっていく中で、同グループ企業の総合広告会社、博報堂や大広、読売広告社とは毛色の違うエージェンシーとして、期待されている存在なのですね。

     

    北爪さん そうだと思います。私が2010年初頭にアメリカで働いていた頃みたアメリカのデジタルエージェンシーは、デジタルを中心としつつ、オフラインのプロモ―ションにも関わっていました。デジタルだけで完結するのではなく、デジタルを起点として情報流通回路をつくり、それをブーストさせるためにマス広告を行ったり、実店舗への送客を行ったりしているのです。

     

    野崎 ということは、場合によってはグループである博報堂さんや大広、読売広告社さんとも競合する可能性もあるということですか?

     

    北爪さん ケースによってはありえると思います。実際にいまでも、博報堂とアイレップの2社がコンペに出てどちらかが選ばれるケースもありますし、結果として、2社で一緒にフロントに立つケースもあります。デジタルはアイレップ、マスは博報堂、でも戦略は一緒につくって、PDCAも一緒に回していく、というように。

     

    野崎 おお、ズバリ言い切っていただいちゃいました。博報堂さんの裏側でアイレップがデジタルプロモーションを運用する、というフローもなくなるわけですね?

     

    北爪さん さすが白メガネさん、するどいところをついてきますね。あまり知られていないのですが、じゃあ話しちゃいましょう。博報堂が博報堂DYデジタルと共同でデジタルの案件に取り組む場合、これまで現場のデジタルプロモーションの運用担当はアイレップでした。しかし現在はその役割はアイレップではなくDACが行っています。アイレップが担ってきた博報堂DY向けのトレーディングデスク※の部分は、アイレップからDACに移管しました。

    ※トレーディングデスク…デジタルプロモーションにおける広告運用のオペレーションを行う組織の総称。

     

    野崎 ここポイントですね。メディアレップだったDACさんは、これからはメディアを買い付けするだけでなく、トレーディングデスク機能まで担当するようになるということですね。

     

    北爪さん はい。その通りです。

     

    市場の変化は新領域に踏み出すチャンス。
    アイレップはTVCMをつくる!

    原さん 「大きなクライアントの案件に関わりたいから総合広告会社に行きたい」と考えている学生さんもたくさんいらっしゃいますよね? これからはアイレップでも総合広告会社が担当しているような案件に関わる可能性が十分あり得ることを知っていただけると嬉しいですね。

     

    北爪さん 今、私たちにとっては大きな機会が訪れていると考えています。なぜならば、今では、必ずしもTVを使わずに、インターネットの中だけでも、ターゲットとする人たちへのブランドの認知や理解を深めることが可能になってきているからです。

     

    従来、TVを使うためには、大きなメディア投資が必要でしたが、いまでは小さくスタートすることが可能ですし、もっというと全ての枠を事前に購入せずとも、状況を見ながら。買い足したり、止めたりすることが可能です。こういうインターネット広告特有のフレキシビリティの魅力を求めて、まずは、デジタルでできることの限界までデジタルでやってみよう、と考える大きなクライアントが増えてきています。

     

    それに合わせて私たちとしても、デジタルだからこそできることを提案したいと考えています。TVCMの場合は、ターゲットができないので、世の中の最大公約数的なインサイトを磨きに磨いて、表現技術にも多大なコストをかけて一つのTVCMを作るわけですが、私たちが提案をするのであれば、ターゲットを因数分解し、それぞれのターゲットに合わせたクリエイティブを同じトータルコストであれば何本もつくり、また途中で成果を見ながら改善していくことを提案します。

     

    そういった成果を見ながら改善をしていくことを「広告の運用」といいますが、こういったことはアイレップのようなデジタル出自の会社ならではの強みだと考えています。

     

    野崎 私が在籍したときとはもはや別会社なのですが、こうした会社全体の変化について、メンバークラスや昔から在籍している人たちには理解していただけるものなのでしょうか。

     

    北爪さん そうですね、全員が全員すぐに理解して、一気に変わることは人間なので難しいのですが、新しい変化をつくってくれる人たちもたくさんいます。

     

    最近では、アイレップのクリエイティブを盛り上げたいと美大卒の新卒社員が入ってきてくれたり、DACからメディアやアドテクノロジーに強い人たちが加わってくれたり、博報堂からも新生アイレップを一緒につくっていきたいと気鋭のクリエイティブディレクターがジョインしてくれたりしていて、「アイレップってこんなこともできるんだ」とクライアントからの見え方が変わるような仕事の仕方や案件が増えてきています。

     

    そして先日「アイレップ発でTVCMを流す」ということが実現しました。そのときにはじめて、多くの社員が「クリエイティブってすごい」と感じてくれるようになって。軌道に乗るのはこれからですが、戦略と意思はすでにある。アイレップは、TVCMだってつくります!

     

    何より大切なのは
    昔も今も「顧客の成果実現」

    野崎 私がアイレップさんに在籍していた2013年頃とは全くの別会社になろうとしていますね。その頃からいらっしゃる大先輩の原さんから見て、今のアイレップはどう映りますか?

     

    原さん 時代に合わせて変化はしていますが、変わらないのは「ずっとチャレンジできる会社」であることだと思います。クライアントが求めることが変われば、変化をして仕組みをつくる。お客さんの成果を出すために今どうあるべきかという問いに対し、解を出すという姿勢は一貫しています。

     

    野崎 「顧客の成果実現」を大切にしているところは私が在籍していたころから変わっていないのですね。

     

    北爪さん ただ、成果のためなら何でも良いわけではなく、ユーザーの価値を棄損していないか、持続するものかなどを大切にしなければいけません。一人の個性で売るのではなく組織としてロジックを立て、検算もする。こうしたアイレップならではの“落ち着き”や、コンサルティングの要素が強いところも、昔から変わっていないですね。

     

    野崎 お客様のニーズや時代に則して変化し続けたからこそ、デジタルエージェンシーとしての国内トップクラスの実績を残せているのですね。中でも、「顧客の成果実現」に対する思いは私が在籍していた頃と変わらなく嬉しいです!

     

    もう少し深掘りします。変化に伴い、今後アイレップさんはデジタルエージェンシーではなくなるのでしょうか。それとも、デジタルエージェンシーと総合広告会社の境目がなくなってくると感じられますか?

     

    原さん もちろん、デジタルに関連する業務はこれからもなくなりません。ただ顧客目線で見たときに、デジタル施策だけではなく、デジタル社会の中で効くマーケティングがあればいいのです。私たちはその手法にはこだわりません。

     

    野崎 ということは、デジタル時代のマーケティングが主流になる今後、デジタルに強みを持つアイレップさんでキャリアをスタートすれば、有利なわけですね。ただ、レールは轢かれていなく、それを推進していく必要がある。

     

    原さん そうですね。「総合広告会社志向のアイレップを一緒につくっていきたい」と思ってくれる学生さんが増えるといいなと思います。今のアイレップは総合広告会社としての仕事が100%ではありませんが、確実に増えています。デジタルを起点にして、これから皆さんと一緒に、新しい事業をつくっていきたいと思っています。

     

    今の総合広告の概念は変わるはず。先陣を切って新しい概念をつくること、そしてその新しい概念がマーケティングの中心になっていく変化を楽しみたい人はアイレップに合っていると思います。

     

    全ての社員に必要な素養は「論理性」。
    愛嬌があると、なお良し(笑)

    野崎 実際、お2人は学生の採用面接の最終とその1個前を担当されています。就活生に代わってズバリ聞きます。面接で通過するコツはなんでしょう?学生のどんなところを見ていますか?全国の就活生、白メガネに感謝してください(笑)

     

    原さん コツですか(笑)白メガネさんに聞かれちゃ応えるしかないですね。私は、過去に主体的、能動的に行動した経験があるかどうか、宣言したものをやり抜いた経験があるかどうかを聞きます。話がうまい人はたくさんいますが、それだけでは仕事の結果は出ません。この仕事をしたい理由、志向性と業界をどう繋いで捉えているか、その論理性と情報収集の深さを見ています。

     

    それからカルチャーフィット、すなわち「顧客の成果実現」というカルチャーに向き合えるかも大事なので、誰かのために動いたことがあるかというところも見ています。

     

    北爪さん 私は論理性を見ています。たとえ最終的な答えが合っていても、顧客の課題を理解する力や、なぜそのアイディアなのかを伝える力が培われていないと、ビジネスを形にすることができないからです。

     

    その上で、何か特長を持っていると良いです。個性、たとえば愛嬌がずば抜けているとか、いろんな業界を渡り歩いているとか、世界中を旅した経験があるとか、理性や再現性の対局にあるものが備わっている人。当社は今、新しい変化をつくっている段階なので、組織を横断してワンチームで仕事をするときに、一人ひとりが異なる視点や経験を持っていることがとっても大事だと思っています。

     

    野崎 ありがとうございます。北爪さんも原さんも「論理性」を大事にされていますね。伝える力と理解する力、これらは学生の間に鍛えることができることでもあるので、ぜひ就活の皆さんには意識していただきたいですね。あとは愛嬌ですか(笑)。確かに、人と人とのビジネスである以上、大事ですよね。

     

    今回、改めてお話をうかがい、アイレップさんとグループ内の他の企業との違いも理解できました。就活生の皆さんも理解が深まったのではないでしょうか。足りなければ白メガネまでお気軽に質問ください。これからどんどん変化していくアイレップさん、さらなる飛躍がとても楽しみですね! 北爪さん、原さん、今日はありがとうございました。

     

    インタビュー:2018年1月

     

    この後、アイレップは実際にどのように進化したのか?時代の最先端を走る2020年版インタビューはこちら
    アイレップの「次世代型エージェンシー」への可能性!博報堂DYグループだからこその強みとは?~キーマンインタビュー

     

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