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ESを書く際や面接の際に非常に重要になってくるのが企業研究です。企業研究は、企業のHPにある新卒採用のページや、求人サイトの情報などから行う学生が多いのではないでしょうか。
しかし、こういったサイトからは企業の良い部分しか見えてこないことが多々あります。そこで、今回は一歩踏み込んだ企業研究として、「IR情報」を使った方法を紹介します。
IR情報とは?
IR情報とは、Investor Relations情報の略であり、日本語では投資家情報と呼ばれています。その名の通り、企業が投資家向けに発信している企業業績などをまとめた情報のことです。
ここには売上高、経常利益といった四半期ごとの決算情報や、CSR活動に関するデータなどが掲載されています。
また、IR情報には良いデータも悪いデータも嘘偽りなく掲載しなければならないため、企業の良い部分、悪い部分の両方どちらも発見することができます。
ESや面接の際に、自分の志望動機や強みと、企業が求める人材や今後の展望が一致していることは非常に重要です。
IR情報を企業分析に活用することで、企業が今後力を入れたい分野や現在抱えている課題、力を入れているサービスや商材を把握することができます。
ここから企業がどのような人材を求めているか、自分の将来やりたいことと一致しているかなどを検討することで、企業とマッチした自己PRの作成や志望理由作りに役立ちます。
また、CSR情報を掲載している会社であれば、働き方改革への取り組みなども知ることができ、就職してからのギャップを軽減することができるでしょう。
このように企業を多面的に、かつ客観的に見ることができるIR情報ですが、経済系の学部の学生以外は中々見慣れないものではないでしょうか。
では、企業分析でIR情報を活用する際に一体どの項目を見ればいいのか、重要な指標について解説していきます。
企業の業績の良し悪しを見る!売上高と営業利益
企業活動において、利益をどれだけ上げられているかは非常に重要になってきます。
IR情報の中にはもちろん利益に関する指標があり、代表的なものが売上高と営業利益です。
売上高は、商品やサービスを販売して得た代金の総額です。どのくらい企業の商材が売れ、資金が入ってきているかがわかります。
そこから、商品を作ったりサービスを提供したりするのにかかる原価を引いたものが営業利益です。
つまり、売上高が高くても営業利益が低ければ、商品やサービスの提供にコストが多くかかっており、実際に企業の手元に残るお金が少ないということです。
逆に言うと、売上高と営業利益が高ければ企業の手元に残るお金は多くなります。また、営業利益の伸び率を見ることで、その企業が数年でどのくらい成長しているかを知ることもできます。
こういった売り上げに関する情報は、その企業の強みや弱みを考える際に便利です。
IR情報には、事業別の売上高や営業利益を掲載している場合もあるので、伸びている事業や、売り上げの上がらない赤字の不採算事業を知ることもでき、企業の主軸となっている事業の把握にも役立ちます。
このような情報を活用することで、数字を使って客観的に企業の特徴を見ることができるので、面接などで説得力のある受け答えに繋がります。
たとえば、売上高が高く営業利益が低い企業であれば、商品やサービスを提供する際のコストが多くかかっていて、利益率が低いことが弱みとなります。
課題を見つけ、それに対して自分の考える解決策を述べれば、面接官にも十分企業研究をしている印象を与えることができるでしょう。
また、一般的に知名度の低い企業でも、高い利益を上げている企業がたくさんあります。
利益の指標を見ることで、隠れた優良企業の発見にも役立ちます。
対企業に営業を行っているB to Cという形態の企業はこのような場合が多いです。
反対に知名度が高くても、利益がそこまで上げられていない企業もあります。
自分が知らなかった隠れた優良企業を探す際に大変便利ですので、是非企業分析の際は売り上げなどの数値に着目してみてくださいね。
中長期経営計画で企業の今後を知る
説明会や新卒採用ページで、必ずと言っていいほど目にするのが企業理念やビジョン、ミッションなどではないでしょうか。
しかし、企業理念などはぼんやりとした抽象的な言葉で表現され、実際企業がこれからどのような施策を打ち出していくかがわかりにくい場合が多いです。
そういった企業の今後を知りたいときに有効なのが、中長期経営計画です。中長期経営計画は、3年から10年間程度の経営の方針を表しています。
どういった事業が主軸となるか、どの事業に投資をしていくのかといった情報がまとめられています。
経営計画は、企業の求める人材を把握し、自分の強みをアピールする際に活用できます。
企業の経営計画と求める人材は繋がっていることが多々あります。
たとえば、海外展開を進めて生きたい企業であればコミュニケーション力があるグローバルな人材を求めている、ほかの企業が真似できないよう最先端の商品を作るために投資を増やすならば、最新の知識を活用できる技術者がほしい、といった具合す。
経営計画から企業の将来の動きを予想し、求める人材と自分がマッチしているかを知るのはとても重要です。
自分が学生時代に力をいれて身についた力や経験と、企業の今後の展望をつなげてアピールすることができれば、自己PRは企業にとってさらに魅力的なものになるでしょう。
また、中長期経営計画には事業を行う上でのリスクが企業からの言葉で掲載されています。
学生目線からはわかりにくいような、企業が実際に抱えている課題を知ることができます。
このリスクをそのままESや面接で話すのは好ましくないですが、そこに自分の考えや解決策を提示すると、面接官からの評価もぐっと上がるはずです。是非活用してみてください。
CSRへの取り組みを見て、働きやすい企業かどうかを見極める
CSRとはCorporate Social Responsibilityの略であり、日本語で企業の社会的責任といいます。
簡単に説明すると、持続可能な社会をつくるために、企業が二酸化炭素の排出量を減らしたり、従業員に対する働き方改革を行ったりすることを指します。
CSRに関する取り組みは、力を入れている企業であれば、IR情報の中の統合報告書やCSRレポートにまとめられています。
今後社会人として働いていくなら、働きやすい企業のほうがいいですよね。
この情報を使うことで、従業員に優しい企業かどうかが分かります。
統合報告書やCSRレポートには、説明会や採用ページではわからないような従業員に対する取り組みが掲載されています。
代表的な数値を挙げると、従業員1人あたりの残業時間や育児休暇取得率、女性管理職比率などです。
また、従業員の労働環境を良くするためにどういった取り組みをしているかなどがまとめられている場合もあります。
こういった情報を見ることで、入社してみたら実は残業の多い企業だったり、有給休暇や育児休暇がとりにくい企業だった、という入社後のギャップの軽減ができます。
ESや面接に直接繋がる情報ではありませんが、企業選びの際に是非役立ててみてください。
IR情報を活用して、ワンランク上の企業分析を
このように、IR情報には説明会や新卒採用ページでは分からなかった「企業の本当の姿」を知ることができます。
はじめは見慣れず難しいでしょうが、IR情報はほかの学生と差のつく自己PRや志望動機を作る近道です。
苦手意識を持たず、IR情報をうまく活用して、企業の良い面と悪い面どちらも把握した上で選考に望みましょう。