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集客と新卒採⽤のコンサルティング業を中⼼に、⼤量に保有する事例データ活⽤と⼀気通貫したプロジェクト運営で、企業課題に合わせたソリューションを提供している「あつまる」。
創業から⾼い平均成⻑率を維持し続ける急成⻑企業である⼀⽅で、「働きがいのある会社ランキング※」で3年連続全国1位に輝くなど、社員が働く上での幸せと成⻑を何よりも⼤切な指針として掲げています。
※世界150カ国以上で従業員意識調査を⾏っている Great Place to Work®が、調査結果をもとに発表している認定・ラ ンキング。あつまるは 2022 年〜2024 年版 ⽇本における「働きがいのある会社」ランキング⼩規模部⾨で3年連続1位 に選出されている。
なぜあつまるは従業員ファーストを徹底するのか。
なぜあつまるで働くことを幸せだと感じられるのか。
代表取締役である⽯井陽介さんにお話を伺いました。
〈プロフィール〉
「お客様ファースト」から「従業員ファースト」に⽣まれ変わる。
――――「全従業員の物⼼両⾯の幸福を追求するとともに、出逢った⼈たちに無限の可能性を伝え続ける集団である。」という企業理念を掲げられていますが、企業理念でインナー(社内)向けの⾔葉が含まれるのは珍しいですね。どういった経緯で決められたのですか?
石井さん(以下敬称略)
実は、この理念に⾄るまでに私は⼀度⼤きな失敗をしました。
25歳でウェブサイトの制作会社を起業したのですが、30歳の時に社⻑を辞任せざるを得ない状況を招いたんです。その理由は、社員が誰も私についてこなかったからです。
新しいことを学びたいと他の経営者の⽅々と会う時間を作る⼀⽅で、社員とのコミュニケーションから学ぶものはないと決めつけ「時間の無駄だ」と公⾔するほどでした。
お客様ファーストかつ売上⾄上主義でもあり、売上の数字や結果でしか社員を⾒ていない。
今思い返せば当然ですが、そんなリーダーに⼈が付いてくるはずもないですよね。
辞任後になんとか再起するためにもきちんと経営について学ぼうと、京セラの創業者である稲盛和夫氏が主催する経営者勉強会「盛和塾」に⼊塾しました。
その時の経験が「従業員ファースト」とも呼べる経営理念の基礎にあります。
⾃分⾃⾝を根本から変えようと、稲盛和夫氏の講演やCDを聞き、DVDを⾒てひたすら価値観のインプットを重ねる⽇々。
解決できない疑問があれば、稲盛和夫氏ならどう考えるだろうと似た事例を探すなど、経営の神様と呼ばれるトップ起業家の考え⽅を徹底的に落とし込みました。
その間に⼤先輩であり師匠と呼べる⽅とも出逢うことができました。
その⽅が出張に⾏く時の鞄持ちのような関係からスタートし、まだ未熟な私に対して⽇本のトップ実業家の⽅が時に厳しく、時に背中で語りながら経営哲学を教えてくださりました。
事業としての挑戦と成功を繰り返すなかで、師弟のような⼈間関係に⾃然と感謝の気持ちが湧いてきたんです。
この数年間の経験から得た学びと想いをなるべく多くの⼈に伝えたいと、企業理念そのものとしました。
あつまるで働く従業員にも私と同じように、挑戦を続け、諸先輩⽅から指導を受ける中で成⻑し、その成⻑を誓い合う仲間が増える幸福感を味わってほしいと願いを込めました。
⾔葉の意味としては、「全従業員の物⼼両⾯の幸福」については、「物の幸福」は”従業員に⾐⾷住医の贅沢ではなく安定的な提供ができること”、
「⼼の幸福」は”⼼の在り⽅次第であり、⼈⽣で⼀番今が充実していること”。
そして、幸福とは”利他を与えたり、いただいたりし、感謝しあえる仲間を増やし続けること”と定義しています。
それぞれを叶えるために企業としては「増益」が⼤切な指標となります。
コロナ禍など不測の事態が訪れても従業員に給料を安定的に⽀払い続けられるように、財務体制を強くしていくことは基本となります。
また、従業員が新たに挑戦できる機会を絶えず⽤意するためにも、新規事業や新拠点を展開するための投資を続け、新たなリーダーや拠点⻑というポジションを⽣み出さなければいけません。
そしてこの理念の実現のためには従業員⼀⼈ひとりが⼈⽣をかけて挑戦するための夢を持ち、⾃らのために⽇々働き成⻑していくことが不可⽋だと考え、あつまるでは「個⼈ビジョン経営」に取り組んでいます。
⼀⼈ひとりの夢があつまり、企業全体で⽬指すものに。
――――「個⼈ビジョン経営」とは具体的にどういうものでしょうか。
「全社員のビジョンの集合体を会社の経営計画に結びつける」経営スタイルです。
すべての従業員にビジョンシートという資料を作成してもらいます。
⾃分の⼈⽣の⽬標であるビジョンを設定し、そのビジョン達成のために誰に何をどうやって⾏うのか、短期的〜⻑期的な⽬標やKPIの設定、⾃分の⻑所や短所の洗い出しをシートにまとめ、⽇々の業務やTo doリストまで落とし込んでいくものです。
そして、私を含めた役員陣が年に2回、全社員と個⼈⾯談を⾏います。
⼀⼈ひとりの夢や⽬標、やるべきことを確認しながら、思案が⾜りない箇所は私たち上⻑が⾃分たちの経験も含めて相談に乗りながら、⾃分が何のために働き、どう成⻑していかなければいかないかを⼈⽣の単位で明確にしていきます。
そうして集まった全員分の個⼈ビジョンと、会社の経営計画(成⻑可能性資料やそれに基づく⻑期・中期経営計画、戦術資料など)のすり合わせを⾏い、会社全体の⽅針を決めるんです。
掲げるビジョンは「両親のためにハワイにコンドミニアムを買いたい」「地元の祭りを世界⽂化遺産にする」「あつまるロサンゼルス⽀店⻑になる」など、⼈によって本当にさまざまです。
それを実現するために必要な能⼒を伸ばすための⼈員配置や業務の割り振りを⾏う訳ですが、あつまるで叶えることが難しいことであれば⼀緒に転職先を探すことさえあります。
⼀⼈ひとりが⾃分の⼈⽣計画をきちんと⽴て、それを軸として⽣きていくこと。その姿に企業として真摯に向き合い応えること。
ただ会社から⾔われてやる仕事ではなく、「⾃分⾃⾝のビジョン実現」のために仕事をできることが最⾼に幸せな「従業員ファースト」の状態ではないでしょうか。
全員と向き合うために私は半年の中で最低でも1週間はこの⾯談につきっきりになりますが、それほどあつまるで働く上で⼤切にされている考え⽅なんです。
最⾼の⼈⽣を送るための場所。
──従業員⼀⼈ひとりの夢を叶えるために「あつまる」という場所が存在しているとも感じますね。
企業の代表が「従業員がどうすれば最⾼の⼈⽣を送れるか」ということだけを追求している会社は他にないかもしれませんね。
例えば、⽇本のIT業界に⾰命を起こしたいだとか、⽇本のトップマーケティング企業を⽬指すといった、よく⾔われる企業の⽬標に私⾃⾝は関⼼がないんです。
もちろん企業としてお客様から依頼されたことに対しては、⾦額以上の成果を出し続けています。
ただそれはマーケティングコンサルティング事業として当たり前のことであり、もともと私が得意としていただけで目的ではなく⼿段でしかありません。
また会社の規模を無謀に⼤きくしたいとも考えていません。私は従業員の顔と名前を知っている⼈たちの社⻑でありたいですから。
名前や顔も知らない⼈の幸せなんて考えられませんし、⼈⽣の責任を背負うこともできません。
直属の社員が1000⼈もいると、私たちの根底にある理念が実現できなくなる訳です。
社員数が1000人になった時は、社員数100名のグループ会社を10社くらいに分けるでしょうね。
「働きがいのある会社ランキング※」で3年連続全国1位に選出いただきましたが、誰もが⾃分の⽬標のために挑戦を続けられる場所は当然働きがいもある訳です。
挑戦とは過去から積み上げてきたものではなく、未来からの逆算で⽬標を掲げ⾏動することです。
過去を反省して改善できるものではなく、完成するイメージができず、全くロジックが⾒えない状態のことを挑戦と呼びます。
⼩さな挑戦を叶えるたびに⼩さな幸せは⼿に⼊りますが、⼤きな幸せを掴むためには⼀⼈では太⼑打ちできないことにも挑まなければなりません。
ただビジョンも幸福も⼤きくなるようなことに挑んでいるからこそ、よりレベルの⾼い⼈と出会うこともできます。
そういう⽅々とコミュニケーションを取りながら、学びをいただけたり、時にはサポートしてもらったり、新たな繋がりを紹介してもらったりと、新しい世界がどんどん⾒えるようになって、ビジョンが実現し、さらに⼤きなビジョンを⽬指し始める。⼈を巻き込みながら、その⼈たちまで幸せにしたいと願えた時には、リーダーとしての重要性に気づき、⼈間的な成⻑も遂げることができる。
⼈⽣や⼈間関係ってこうして幸せになっていくんだと、気づくための挑戦ができる場所でありたいと⼼から想っています。
「本当に幸せな⼈⽣」について真剣に考える。
──社会⼈の誰もが⼼のどこかではそうありたいと思いながらも、諦めてしまっている⽣き⽅かもしれません。
学⽣のみなさんには本当に幸せな⼈⽣って何かを真剣に⼀度考えてみてほしいですね。
なんとなく流されるように⼤企業に⼊って、部分的に事業の役割を淡々とこなしつつも、次のステップにはなかなか進めない。そんな働き⽅でもほどほどに幸せな⼈⽣は掴めるとは思います。
しかし、それって本当に⾃⽴して⽣きているんでしょうか。⾃らの市場価値を⾼めることができず、会社の看板がないと何もできない⼈⽣って本当に幸せなのでしょうか。
⾔葉だけでは⻘くさいと思われるかもしれませんが、ビジョンをちゃんと持って懸命に追いかけるために努⼒を重ね、失敗や苦しいことも多々あるプロセスの中での成⻑を実感できることこそ、⾃分も幸福を感じることができるし、世のため⼈のためにもなるんだと。
あつまるで働く⼈たちを⾒て、気づいてもらえると嬉しいですね。
──本日はありがとうございました。
ありがとうございました。