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書類選考から進まない、面接結果がよくない、内定がなかなか出ない、納得したところに決まらない…
就活は、うまくいかないことも多いもの。もしこのまま、就職先が決まらなかったら…
内定を勝ち取りたいモードのときに最悪の事態は考えたくないものですが、もし就活が失敗してしまったらどうするか、目を背けず考えておくことも大切なリスク管理です。今回は、就活がうまくいかなかったときどうするか、その対処の選択肢とメリット・デメリットについて考えていきましょう。
「採用と不採用」何が分かれ目?
不採用はあなた自身を否定するものではない!
まず、このページをお読み頂いている方の中には、不採用に肩を落とし、自分という人材の価値や人格・人間性を疑い落胆している方もいらっしゃると思います。
まずは、「就活がうまくいかないのは自分自身に問題があるのかもしれない」という考えを今すぐ捨ててください。
不採用は、あなたという人間自体を否定するものではありません。
採用は「ニーズ」と「ご縁」
それではなぜ、志望した企業に採用されないのでしょうか。
それは実にシンプル、企業のニーズやカラーに、自分よりももっと合う(と人事担当者に判断された)人が他にいたから。
つまり裏を返せば、たとえ就職してもしっくり来なかった可能性があったり、他にもっと自分に合う企業があるわけですから、悲しむことではないのです。
だからこそ、採用は企業のニーズやカラーと自分が偶然ぴったりあった「ご縁」。
つまり、今就職が決まっていなくても、まだこの先にそのご縁があるだけに過ぎないと思って良いのです。
上記を踏まえて、就活が失敗する理由とその背景を分析していきましょう。
なぜ就活に失敗してしまうのか?
「売り手市場は就活がラク」とは限らない!
突然ですが、大学を卒業した人のうち実際に就職した人の割合は何パーセント程度かご存知ですか?
令和2年4月1日時点の大学卒業者の就職率は98.0%です。
[厚生労働省・文部科学省 令和2年3月大学等卒業者の就職状況の共同調査による]
前年に比べて0.4ポイント上昇し、調査開始以降、同時期で過去最高となる高い水準を維持しています。つまり、就職市場は依然として売り手市場を維持した状態が続いています。
しかし、その状況にも関わらず就職活動に失敗してしまう学生が少なからず存在しているのも事実です。
これにはさまざまな原因があります。なかでも、よくある原因のひとつが「大手志向」へのこだわりです。
実はこのこだわりが結果的に就活を不利な状況へと導く可能性があるのです。
いまだに根強い「大手志向」の落とし穴
大手志向は就活生の間で根強く存在しています。人生の岐路である就職で「少しでも待遇のいいところに就職したい」といった風に考えてしまうのは致し方ないことかもしれません。また人によっては、近年の就職しやすくなってきている世の中で、家族や周囲からの「大手企業などのいい会社に就職してほしい(または、できるのでは)」というプレッシャーも大手志向の要因の一つになっているかもしれません。 働き方が多様になった現代でも、大手志向は根強いといえるでしょう。
多くの就活生で、考えることは同じ。フタを開けてみれば、実は就活生全体の5割以上が従業員が4ケタを超えてくるような大手企業の内定が取れることを期待しています。
これでは、競合相手が多いこともあり大手企業への就職は依然として難易度が高いと言わざるをえません。
結局希望者が集中してしまう高難度の大手企業にこだわるのは、大切な就活時間を大幅にロスする可能性があり、得策とは言い難いでしょう 。
中小企業にも目を向けよう
大手企業に希望者が殺到する一方で、中小企業には希望者が少なく、人手不足に悩む企業が少なくありません。
待遇や雇用の面が不安定、零細企業といった先入観から中小企業を避けようとする就活生がいますが、それはあまりいい判断だとは言えません。中小企業にも当然、優良な企業が多数存在しているからです。
また、普段なかなか意識しない分野で社会を支える興味深い企業もあります。
大学のキャリアセンターには中小企業の求人も多数用意されているので、自分の希望する職種が求人に出ていないか、今まで考えていなかったが興味がわいた新たな分野の求人がないかを確認してみることをおすすめします。
就職に求める「ゆずれない条件」を再確認しよう
採用が企業ニーズ・カラーとの相性であることを踏まえ、就活が失敗してしまう理由とその背景について、大手志向を例に挙げながら考えてきました。
ここまでの情報を踏まえて、今一度あなた自身に問いかけてほしいことがあります。
それは、あなた自身が就職に関してどうしても譲れない「こだわり」があるかと、その優先順位の確認です。
これらを確認しておくことで、あなたにとって適切な、就活失敗時の「次の一手」が見えてくるはずです。
就活に失敗した場合の次の一手は?
あまり考えたくはないことですが、 就活に失敗してしまう可能性は誰にでもあります。
もしもの場合に備えて、就活に失敗してしまった時のことも、あなたのこだわり条件と照らし合わせながら考えておきましょう。
考えられる「次の一手」の選択肢の例として、下記が挙げられます。
それでは、一つ一つの選択肢について考えていきましょう。
就職留年し来年度新卒採用を狙う
就職に失敗した場合に考えられる最初の一手は、来年まで就職留年をして次年度にまた新卒として就活を開始することです。
就職留年とは、次年度に新卒として就活を再チャレンジすることを念頭に、あえて単位を落として留年することを指します。しかし、これを達成するには大学に在学し続けなければならないため金銭的な負担が大きく、さらに企業側にもあまりいい印象を持たれない可能性が否定できないのが問題です。
また、就職留年をしたからといって思ったとおりに事が運ぶとは言い切れません。
希望する企業から内定をもらえなかったとしても、年度内での就職が見込めるのであれば、就職留年せず年度終わりまでそのまま就活を続けることをおすすめします。
ただし、未経験者の場合に新卒採用でしか門戸が開けていない職種にどうしてもこだわりがある場合は、思い切って就職留年するのも手だといえます。
あなたの職種へのこだわりと照らし合わせ、既卒採用がないかの情報も再確認してみてください。
就職浪人し既卒枠採用を狙う
次に考えられる一手は、就職浪人をはじめることです。
日本では新卒一括採用制度のスタイルが主流です。求人における既卒枠は新卒枠に比べると枠の数が大きく減少しています。
既卒でも正社員として登用されることは可能ですが、新卒に比べると難易度は跳ね上がるのが現実です。
また、状況によっては、既卒の業務経験者と肩を並べて採用選考に臨まなければならないケースもあり得ます。
ただし、公務員であれば新卒と既卒の間に隔たりはありません。公務員を目指して就職浪人としての生活を選ぶ人は多いと聞きます。
フリーターとして働く
最後に紹介する一手は、フリーターです。
就活に失敗してフリーターとしての選択肢を選ぶ人はそれなりにいます。しかし、フリーターは正社員に比べるとリスキーな面が多々あると言わざるをえないでしょう。
まず、フリーターは雇用が安定しません。 くわえて、社会保険に入れない可能性も否定できず、病気などになってしまった際には、非常に困難な岐路に立たされる傾向が強いです。
また、生涯賃金を正社員と比較すると、正社員が2~3億円程度、フリーターは5~8千万円程度だと言われています。待遇と収入面から見ると、正社員になれる可能性があるのであれば、正社員となる選択肢を選ぶ方が有利だと言えるでしょう。
正社員を目指すならできるだけ早期に
もし正社員になりたい場合、さまざまな理由から、極力早い時期から正社員を目指すといいでしょう。
その理由は次の3つが挙げられます。
どれも「若い方が得」という点が共通していますが、一つ一つ詳しく見ていきましょう。
1. 企業は若い人材を求めている
まず最初の理由は、大多数の企業は若い人材を求めているからです。
企業が若い人材を求めるのには理由があります。 30代、40代といった人材よりも20代の人は考え方が柔軟な傾向が強く、職場に馴染みやすくスキルの吸収率も高いと多数の企業はみているからです。 体力面でも若い人材はアドバンテージがあります。
そして、終身雇用制が薄れてきた世の中とはいえ、就職後そのまま働いた場合の年数がより長いのもメリットの一つと言えるでしょう。
2. ポテンシャル重視の採用は若いうちだからこそ
2つ目の理由は、ポテンシャル重視の採用は若い間でないと厳しいという点です。
ポテンシャル、つまり、今後成長できる可能性・伸びしろを期待した採用ですが、これは若い間でないと企業としては二の足を踏んでしまいます。 30代、40代での転職は、即戦力重視で主にキャリアを活かした活躍を期待しての採用です。伸びしろはあまり期待されていません。 つまり、年齢が高くなるにつれて企業が重視するのはキャリアです。即戦力を求めているので求人からは未経験者の枠が激減し、選べる選択肢も僅かになります。
3. 20代と30代の就活では企業側の受ける印象が違う
3つ目の理由は、20代と30代では企業の抱くイメージが大きく変わってしまう点です。
例えばフリーターの立場から正社員採用の就活をする場合、20代のフリーターであればまだ好意的に見てもらえる傾向がありますが、 30代でフリーターを続けているというのは、自分のキャリアを無為にしてきたと見られる可能性が強くおすすめできません 。
30代フリーターの正社員へのキャリアアップは不可能ではありませんが、20代に比べると格段に難しくなります。
このようにさまざまな理由から、正社員になれる可能性があるのであれば就活はなるべく早く始めた方が今後の展開は有利です。
正社員以外から正社員にキャリアアップする方法
さまざまな働き方がある現代においては、必ずしも正社員という雇用形態にこだわる必要はありません。
また、正社員が最終的な目標という場合でも、新卒ですぐ正社員になることだけが全てではありません。
既卒としての就活や、正社員以外の雇用形態を踏まえて正社員を目指すことも可能です。
既卒は新卒に比べて不利だと前述しましたが、既卒者の募集に力を入れている企業も最近は増加傾向にあります。
いったん正社員以外の働き方を考える場合や、理由があって就活に専念できないという場合は、これから紹介する選択肢も参考にしてみてください。
1. 契約社員からの正社員登用
最初に紹介する方法は、契約社員としての採用から正社員雇用を目指す方法です。
求人の中には正社員への登用制度というものがあります。これは、まず契約社員として企業に雇われ定められた期間の勤務を果たした後に昇格試験をパスすれば、晴れて正社員として登用されるというものです。 契約社員として雇われている間にその企業における実務のノウハウも得られるので一石二鳥の方法とも言えます。
しかし、注意点が1つあります。この登用制度には、募集をかけてはいるが採用実績は存在しないといったケースが少なからず見受けられる点です。この方法を選択する場合は、採用実績の有無などを確認しておくことをおすすめします。
2. 紹介予定派遣による正社員登用
次は、紹介予定派遣を経ての正社員雇用の方法となります。
紹介予定派遣は前提条件として直接雇用を念頭に置いたうえで派遣契約を結ぶ雇用の形です。言い換えると「最初から正社員になることを目標に派遣契約をする」というスタイルです。
長くて6ヶ月の契約で、契約中の仕事の処理能力をもとに企業側が採用の不可否を判断します。 仮に不採用だったとしても企業側の同意を得られれば、派遣社員として新しく雇用契約を結び直し、勤務継続することが可能です。
3. 既卒フリーターをしながらの就活
最後の方法は、既卒フリーターをしながら就活に励むという手です。
夜中や休日はフリーターとして働き日中は就活に専念すれば、フリーターをしながら就職にたどり着くのも不可能ではありません。 この方法を選ぶ場合は、決して無理なスケジュールは組まずにバランスを考えて実践しましょう。無理がたたり、体調を崩してしまうと本命である就活に支障をきたしかねません。
就活には万全に取り組めるように注意を払いましょう。
あなたにとっての「最善の対処法」とは?
あなたの「就職に求める条件」が最善の選択肢を導く
就活を失敗してしまった場合の「次の一手」、さまざまな選択肢考えてきましたが、ここで改めて、あなたの「就職に求めるゆずれない条件」を振り返ってみましょう。
そして逆に、「こだわらなくても大丈夫な条件」も考えてみましょう。
選択肢を「ゆずれない条件」「こだわらない条件」と照らし合わせれば、最善策はおのずと見えてきます。
・ 現役で新卒正社員採用はゆずれない
→候補企業・業種を広げ就活継続
・ 正社員でなくても卒業後すぐ働きたい
→就活継続しつつ契約社員・派遣社員などを検討
正社員登用や紹介予定派遣も視野に
・ 再チャレンジしてでもなりたい職種・業種がある
→就職留年・浪人(既卒採用)を検討
・ すぐ働けなくても正社員として採用されたい
→就活継続しつつ就職留年・浪人(既卒採用)を検討
契約社員の正社員登用や紹介予定派遣も視野に
・ 給与・勤務地など必要な条件を満たして就職したい
→候補企業・業種を広げ就活継続
正社員以外の雇用形態にも目を向ける
就職留年・浪人してでも満たしたい条件か再考する
・ 特にこだわりはない
→候補企業・業種を広げ就活継続
正社員以外の雇用形態にも目を向ける
これはあくまでもおすすめの方法ですから、最終的には自分の希望で判断が求められます。そして、上記でわかるように、大原則は、新卒採用のシーズンが終わっていくからといって「失敗」と線引きをせず、調べる会社の数と幅を広げ、他業種・中小企業・オフシーズン採用も視野に入れて可能な限り継続することです。 アンテナをはって視野を広げることで、決して妥協ではなく、新たな面白さの発見につながるかもしれません。
時間をかけても実現したいなら思い切ってチャレンジ!
リスクの低さ的に「得」なのは現役新卒採用の就活継続ですが、リスクを勘案しても譲れないものがあるなら、就職留年・就職浪人などを経て思い切って再チャレンジするのも価値があることです。
若い一年を無駄にしてしまうようでなかなか踏み切れないかもしれませんが、例えば、「どうしてもこの職種」という強い熱意を持って就職留年・就職浪人して夢を叶えた人はたくさんいます。夢を実現させて働けるのであれば、見送る1年は長い人生のほんのひととき、決して無駄にはならないと話す人もいます。
もちろん、次年度に成功する保証はありません。だからこそ、家族など周囲の理解をできるだけ得られるように努め、その職種の専門知識をスクールで学んで備えたり、次年度に「一歩進んだ自分」で就活できるよう最善を尽くすことを忘れてはなりません。
そして、いつまで続けるか止めるかの線引きと、できなかったときどうするかを現実的に考えておくことが必要だといえるでしょう。
現役新卒採用だけが全てではない!
最終目標は「納得できる仕事に就くこと」
今回は「もし新卒採用の就活で失敗してしまったら」というテーマで、幅広い選択肢を考えてみました。これだけ多くの選択肢があることがわかれば、新卒採用の失敗イコール「就職が絶たれた」わけではないことがわかると思います。
改めて、今回の要点を整理しておきましょう。
ご紹介してきたさまざまな選択肢を、あなた自身の就職に求める「ゆずれない条件」と照らし合わせることによって、納得のいく「次の一手」がきっと見つかるはずです。
最終目標は「納得できる仕事に就くこと」。
今ある若さを武器に、あきらめず進めば、いつか必ず道は拓けてきます。
いま「就活の失敗」の可能性にも目を背けず頑張るその心が、長い目で見た成功に導いてくれるはずです。応援しています!