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「グループディスカッション」
就職活動の採用試験にグループディスカッションを取り入れる企業は増えています。
グループディスカッションは、通常の試験のようにテキストを使った対策だけでは対応できないケースが多いです。
同じグループになるメンバーの顔触れによって、自分が演じやすい役割やディスカッションの方向などが変わりますので、準備をするにあたっても限界があるのが本当のところです。
ただ、こういったグループディスカッションには、一定のパターンがあります。
パターンをしっかりとチェックしておけば、イレギュラーな状況に遭遇しても余り慌てずに行動できるわけです。
役割分担
グループディスカッションに参加するときにまず知っておきたいのが、さまざまな役割です。
例えば、メンバーの意見を聞いて、取りまとめるのがリーダーの役割。
時間配分などを決めるタイムキーパーも、役割の1つに挙げられるでしょう。
ディスカッションの進行を受け持つ司会や記録を取る書記なども役割の1つですが、この2つは必ずしも必要ありません。
また、グループディスカッションでは、議論の進行を妨げてしまうクラッシャーと呼ばれる人もしばしば見られます。
クラッシャーは、他のメンバーの意見に耳を貸さない、などの問題行動が目立つのが特徴で、積極的に引き受ける役割ではありません。
グループディスカッションに参加するときには、自分がならないように気を付けることが肝心でしょう。
流れ
グループディスカッションにはいろいろなパターンがありますが、基本的な流れはだいたい同じです。
採用担当者から与えられたテーマに沿ってメンバーが意見交換をし、最終的な結果を発表します。
例えば、ディスカッションを始めるときには、まずテーマをメンバー同士が確認し、話し合う目的などを決めておきます。
問題の解決策を考えるテーマであれば、お互いにアイデアを出してディスカッションを行うのが一般的な流れです。
グループディスカッションでは、それぞれのメンバーの発言がチェックされていますので、意見を出すときには根拠までしっかりと述べておくことが大切になってきます。
データの数字や事実などを挙げると、説得力がでるでしょう。
ひとしきり意見交換が終わったら、最後にグループの意見をまとめて結論をだします。
通常は、こういった結論を試験官の前で発表するのが、グループディスカッションの最終ステップです。
「パターン」
日本の就職活動で見られるグループディスカッションのパターンは、大きく5つのタイプにわかれています。
抽象的なテーマ
1つ目が、抽象的なテーマについて議論するディスカッションです。
このパターンのディスカッションでは、結論をだしていくまでのプロセスがチェックされています。
どのような過程で結論に至ったかが、重要なポイントです。
抽象的なテーマの場合は、まず条件を決める定義づけが必要です。
例えば、「マイカーを持つメリットとデメリットを述べよ」といったテーマが与えられたときには、対象になる人の地域や年齢層をあらかじめ定義づけておくのがコツになってきます。
ある程度定義を決めることで、議論がまとまらなくなるのを避けられるわけです。
実のところ、抽象的なテーマについてのディスカッションの場合は、メンバーの意見がまとまりにくくなるのが1つのデメリットです。
意見がバラバラになる前に、自らリーダー役を引き受けるようにすれば試験官からも注目されるかもしれませんね。
課題に対しての解決策を考える
2つ目のパターンは、課題に対しての解決策を考えるディスカッションです。
例えば、この場合、「店舗の売上を上げるにはどうすればいいか」などの課題がテーマに与えられます。
課題解決型のディスカッションは、説得力のあるアイデアを結論として発表することが求められます。
したがって、ディスカッションを進めるときには、メンバーから意見を出してもらい、実現できそうなアイデアやしっかりと根拠を示せるアイデアを選んで、絞り込んでいくのが効率的な方法です。
状況を分析できているかどうか、などがこういったパターンのディスカッションではチェックされているので、根拠がない奇抜なアイデアを出すのは余り現実的ではないでしょう。
このパターンの場合は、まとめ役であるリーダーよりも一般のメンバーの役割を選んだほうが、意見を十分に考える時間が確保できるかもしれません。
資料を分析して結論を出す
3つ目は、資料を分析して結論を出すパターンのディスカッションです。
このパターンの場合は、資料で提示されている前提の確認から順を追ってディスカッションを進めていくのがポイントです。
現状を分析し、原因を絞り込み、アイデアを出していきます。
メンバーがだしたアイデアをもとに良し悪しを議論して、結論をまとめ上げるのが最終的な目標です。
このパターンのテーマの例としては、「この大学の入学者を増やすための対策を考えよ」などが挙げられるでしょう。
入学希望者の推移や併願率などを示した資料をベースに、実現できそうな対策を考えるのがこういったテーマのディスカッションです。
資料分析型のディスカッションは、資料を正確に読み取り、アイデアをだす能力が選考でも重視されます。
パーソナリティよりも能力がチェックされる傾向があるので、意見の取りまとめに時間を費やさなければならないリーダーの役割を避けるのも合理的な方法です。
ただ、資料分析型のディスカッションは正確な結論を出すことが他のパターンよりも重視されます。
したがって、あえてリーダー役を引き受けて、議論が間違った方向にいかないようにかじ取りをするのも、試験官に存在をアピールするための1つの方法になるかもしれません。
ディベート型
4つ目のグループディスカッションは、ディベート型のパターンです。
ディベート型のディスカッションの場合は、試験官からあらかじめ役割や立場、条件などを指定されるケースもあります。
例えば、「24時間営業のお店はあるべきか」といったテーマをディスカッションするときに、賛成の立場を指定されたら、その立場にそって意見を述べる必要がでてきます。
ちなみに、このディベート型のディスカッションは、最初に判断の基準を決めて結論をだしていくのが効率的な進め方です。
試験官は、柔軟に対応できる能力や協調性などを見ていますので、自分の立場にあった根拠をしっかりと伝えられるように意識するといいでしょう。
このパターンでは、自分の立場に有利な判断基準を設定しておくと意見を出しやすくなります。
したがって、リーダー役を買って出て、積極的にイニシアティブをとるのもいい方法です。
フェルミ推定型やケーススタディ型
グループディスカッションの5つ目は、フェルミ推定型やケーススタディ型といったその他のパターンです。
このパターンでは、例えば「ワインを若者に広めるにはどうすればいいか」や、「会社の売上を2年間で倍にする方法を考えよ」などのテーマがだされます。
フェルミ推定型やケーススタディ型も、ほかのパターンと同じく、アイデアを出し合い、結論を出すという流れで議論を進めるのが一般的です。
ただ、これらのパターンでは、情報からいかに説得力がある意見をだせるかがチェックされるので、根拠を述べることや考えに至ったプロセスをアピールしておくことが大切になるでしょう。
とくにフェルミ推定型は、限られた情報を活用して結論を導きだしていくことが求められますので、たとえ提供される情報が少なくても慌てる必要はありません。
一般常識なども活用しながら、説得力のある意見をだせば相応に評価されます。
ゆっくりと意見を練りたい人は、一般のメンバーとしてディスカッションに参加したほうがいいかもしれませんね。
司会や書記といった必ずしも必要がない役割は、この場合はできるだけ避けた方が無難でしょう。