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就職活動の中、大手企業ではなくベンチャー企業への就職を考えている方も多いでしょう。
お給料が比較的高かったり勤務形態がフレックスタイム制であったりと、通常の中小企業とは一風変わったところが魅力的ですよね。
しかし、何となくのイメージでベンチャー企業への就職を考えている方も少なくないでしょう。
ベンチャー企業には相応のリスクがあり、そのことを知っておかなければ就職した後に後悔するなんてことも十分に有り得ます。
一方で、それを補って余りあるメリットや魅力が存在しているのも確かです。
「ベンチャー企業とは」
そもそもベンチャー企業とは何なのでしょうか。
英語のventure (冒険、危険な試み) を語源とする和製英語であり、一般的には大企業では不可能なこれまでに無い革新的事業を行う企業のことを指します。
日本におけるベンチャー企業
日本においてベンチャー企業の歴史は浅く、最初のベンチャー企業の起業ブーム起きたのは1970年代のオイルショックの後です。
さらに、1980年代にはITテクノロジーが急速に発展し、新たな形態のサービス業が乱立しました。
実は、この時期にあの有名なソフトバンクやTSUTAYAなどが創業されています。
その後、2000年代に入り、政府がベンチャー企業支援制度を創成し、規制緩和に伴いITやゲームに関連したベンチャー企業が乱立しました。
これらベンチャー企業の大きな特徴は、多くの場合で会社としての熟成が進んでいない成長過程であるという点です。
大規模なベンチャー企業は比較的少なく、中小規模の会社が多くなります。
革新的な手法を取り入れて事業を進め、ビジネスを発展させている途中であるため、資金は潤沢とは言えず財政的には厳しいことがほとんどです。
そのため、ほとんどのケースで、様々な投資機関からの融資を積極的に受けています。
圧倒的なスピード感
一方で、大企業では現実的に実現不可能な革新的事業に取り組んでいるため、圧巻のスピードで劇的な発展を遂げるベンチャー企業が多いのも事実です。
上手く軌道に乗った場合、零細企業レベルから数年で一部上場へ到達することも可能なのです。
この点がベンチャー企業と他の中小企業との大きな差です。
実は、中小企業は中小企業基本法によって全四章にわたり明確な定義がなされており、事業規模自体はベンチャー企業と差異がほとんどありません。
決定的な違いは先にも述べたように、最新技術や革新的アイディアを駆使した事業創出にあります。
この理由から、ベンチャー企業は高い技術や独創的アイディアを持った人材への投資を惜しまない傾向にあり、中小企業と同等の事業規模でありながら大企業以上の給与支給を実現しています。
「ベンチャー企業で働くことの魅力と特徴」
裁量権が大きく昇進のスピードが早い
ベンチャー企業で働くことの魅力と特徴は、社員一人ひとりの裁量権が大きく昇進のスピードが早いことが挙げられます。
したがって、やり甲斐や責任を大きく感じられるだけでなく、自分の仕事に取り組む熱量がそのままステータスに反映されやすいため、仕事に対するモチベーションを高い水準で維持することができるのです。
組織としての動きを重んじる大企業とは異なり、新たなアイディアとそれをやりたい気持ちをしっかりとアウトプットしていくことで、どんどんやらせてもらえる雰囲気の会社が多いのも魅力です。
社員が全体的に若く能動的で革新的な環境
また、創業からの年月がそこまで経過していないことから、働いている社員が全体的に若く、会社がとても若々しく元気であることもベンチャー企業の特徴です。
エネルギッシュで成長意欲が高い人が多いため、同僚と常に切磋琢磨しながら自身のスキルレベルをめきめきと上げていくことができます。
新しい企業であるベンチャー企業は一般企業でよく見られる年功序列型の人事がないため、若く勤続年数が浅い人でもスキルレベルや業務成績によって評価され、すぐに役付なることも有り得えるのです。
裏を返せば、ベンチャー企業は従来型の一般企業と異なり、新規に創成しイノベーションを起こすという考え方がベースとなるため、職場は伝統を遵守する受動的で保守的な環境ではなく、能動的で革新的な環境となります。
そのため、与えられた仕事をこなすという心持ちでは昇進は見込めないのです。
フラットに意見を出せる環境
このことからも分かるように、ベンチャー企業での仕事にはマニュアルが無いことも多々あります。
常に自分自身で仕事に向き合い、その進め方やあり方を考えていく必要があります。
一方で、仕事の場では役職に関わらず意見をフラットに言える環境が整っていることも多く、一般企業にありがちな長いものに巻かれるという状況に陥りにくいのが大きな特徴です。
ベンチャー企業では経営陣と一般社員との距離感が近い場合が多く、ベンチャー企業創業者から会社理念や新規概念を直接学ぶことができます。
特に、将来起業を考えている人には、会社の起業や経営に関して直接肌で感じられるためとても魅力的であるといえます。
「ベンチャー企業で働くことのデメリット」
魅力たっぷりなベンチャー企業ですが、他の企業と比較してメリットばかりであるわけではありません。
デメリットとしては、やはり企業として不安定な点が挙げられるでしょう。
ベンチャー企業はビジネス成長フェーズに位置していることが多く、財政的に豊かではないこともあります。
創設された新規企業の約95%が起業後10年以内に倒産すると言われているのです。
すなわち、財政難でありながらもこの厳しい世の中で生き延びられるベンチャー企業でなければ、ある日突然解雇されたり、会社が倒産したりしてしまう可能性があります。
また、起業後の歴史が浅いため、人員不足による残業に追われたり、福利厚生の制度が十分に整っておらず不満を感じたりする場面に出会うことも多いのです。
「ベンチャー企業に向いている人」
では、どのような人がベンチャー企業への就職に向いているのでしょうか?
クリエイティブさを求めている人
ベンチャー企業はこれまでに存在していないものを創成する事業を展開していきます。
既存のビジネスモデルに頼らず、新規手法で開拓していくことが特徴です。
そのため、マニュアルを遵守するのではなく自分自身で新たにマニュアルを作成することを得手とし、クリエイティブさを求めている人に向いているといえます。
変化を楽しめる人
さらに、このようなベンチャー企業の特性から、日々刻々と業務内容や規模、プロジェクトメンバーが変化していくことが常です。
不変的な日常を過ごすより、異なる毎日を過ごすことを楽しめる人はベンチャー企業に向いているといえるでしょう。
一般企業におけるルーティンワークに嫌悪感を覚える人にとっては、ベンチャー企業での仕事が天職になるかもしれません。
ベンチャー企業での仕事はビジネスとして軌道に乗っていないことがほとんどであるため、残業が多く激務であることは避けられません。
したがって、好きなものに没頭でき、とことん結果を追求できるような人にとってベンチャー企業は最適でしょう。
「ベンチャー企業に向いていない人」
逆に、どのような人がベンチャー企業に向いていないのでしょうか。
ベンチャー企業は、適性のある人にとっては自分のスキルを限界まで振るえる夢のような職場である一方で、相性が悪く適性がない人にとってはただ激務がつらい職場と化します。
次のような人たちはベンチャー企業への就職を避けるべきです。
受動的な人
第一に、仕事に対して受動的な人です。
ベンチャー企業において業務はトップダウン的に与えられるものではなく、遂行する人が自分自身で考え、やり方をも開拓していくのです。
そのため、常に指示を待っている人や受け身の姿勢をとっている人はベンチャー企業内にできる仕事はほとんどないといえます。
マニュアルを好む人
第二にマニュアルを好み物事に対して臨機応変に対応できない人です。
先述のようにベンチャー企業では職場環境・ビジネスモデル・プロジェクトなどが毎日のように変化していきます。
昨日は正しかったことが今日は間違っている、昨日は通用した手法が既に時代遅れであるということは日常茶飯事です。
故に、不測の事態に遭遇するということは珍しくなく、むしろ頻繁に起こるといっても過言ではありません。
思いもよらないことや急に立ちはだかる困難な課題・問題などに直面したとき、柔軟な思考で臨機応変に対応できない人は大きなストレスを日々感じることは必至で大変な苦労を強いられることでしょう。
安定な生活を求めている人
加えて、安定な生活を求めている人もベンチャー企業には向いていないといえます。
ベンチャー企業はventure (冒険、危険な試み)する、すなわち冒険的で攻めの姿勢を好む企業です。
財政的に困窮した状態であることも少なくなく、危険な橋を渡り、茨の道を進むことも多々あります。
会社の経営が立ち行かなくなり倒産することも十分考えられ、 急にリストラに遭う危険と常に隣り合わせです。
また、ベンチャー企業では実力主義的な給与査定が行われていることがほとんどです。
出来高制に近いため、給与変動が激しい場合も多いものです。
もちろん、自身が会社に貢献すれば他の企業と比較して破格の報酬を受け取れます。
その逆もしかりで、劇的に給料が少ないことも考えられるのです。
このように大半の場合で非常に不安定な生活を余儀なくされるため、高額ではなくても一定の給料を毎月もらいながら安定した生活を送りたい人はベンチャー企業に就職するべきではありません。
「最後に」
以上のように、ベンチャー企業は様々な魅力的な特徴と持つ会社であることがわかります。
一方で、相応のデメリットもあることを忘れてはいけません。
ベンチャー企業の経営方針は冒険的でスピード感に溢れるため、日々めまぐるしい変化を遂げていきます。
そのため、向き不向きがはっきりと別れる企業形態であるといえます。
ベンチャー企業への就職を考えている方は、安易なイメージでベンチャー企業を選択するのではなく、適性があるかどうかを自分自身でしっかりと考える必要があります。
これまでに誰も成し得ていないことにアグレッシブに取り組み、新たな技術・方法・製品を開発し、発展させていきたい人にとってベンチャー企業での仕事は正に天職となるでしょう。