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皆さんこんにちは、シンアドインターン生のエリンギこと廣澤衣里(ひろさわ・えり)です。今回から、企業取材を担当することになりました。今回今急成長中のさまざまなベンチャー企業にインタビューをして、やりがいや面白さをお伝えしたいと思います。
そして記念すべき第1回は、は、不動産テックスタートアップ企業、株式会社【Housmart(ハウスマート)】さんのオフィスにお邪魔してきました。同社は、「ビックデータ」と「AI(人工知能)」の活用で不動産業界に新たな旋風を巻き起こし、注目を集めている会社です。業界内で最先端のビジネスを展開しているhousmartの実態に迫るべく、同社社長の針山昌幸さんにインタビューさせていただきました!
<お話を聞いた人>
株式会社Housmart
代表取締役
針山 昌幸(はりやま・まさゆき)さん
非効率な不動産業界の仕組みをなんとかしたい!
廣澤 はじめまして!本日はよろしくお願いします。さっそくですが、まず御社の事業内容について教えてください。
針山さん はい、よろしくお願いします。弊社は、人工知能とビックデータを活用した「カウル(https://kawlu.com/market)」という中古マンション売買・不動産テックサービスを運営しています。マンションを売りたい人と買いたい人をインターネット上でマッチングさせる、不動産売買プラットフォームサービスです。
廣澤 なぜこの事業をつくろうと思ったのですか。
針山さん 不動産業界は特に面白くなってきています。というのも、新築マンションがものすごく値上がりしているので、お客様のニーズが中古住宅の方に流れてきているんです。中古不動産は築年数や売買履歴など、より多くの情報を比較検討する必要があります。しかしながら、不動産会社は大量の情報は保有しているものの、未だに紙で管理していて情報が整理整頓されていません。IT化の遅れによって非効率的で不合理な不動産取引が行われているんです。そこで、私はその大量のデータを整備してお客様によりわかりやすく、また適正な価格で提示したい、という思いからこの事業をつくろうと考えました。
廣澤 たしかに、私も一人暮らしの賃貸物件を探す時に、ネットや不動産会社から情報収集をして比較検討しましたが、情報量が多すぎて処理をするのが大変でした。中古不動産の売買となるともっと大変になりそうですね。先ほど「適正な価格」とおっしゃっていましたが、今の不動産取引は適正な価格で行われていないということですか。
針山さん そうですね。そもそも不動産会社とお客様の持っている情報には大きな格差があると思うんです。お客様は不動産会社よりも専門知識を持っていないので、不動産会社の方が有利になりますよね。実際、従来の不動産会社は必要以上に高額の仲介手数料を上乗せしているのが現状です。そういった非効率で非合理な不動産取引の仕組みを変えれば、従来よりも適正な価格を提示できるのではないかと考えました。
廣澤 適正な価格で行われていないということ自体を知りませんでした。きっと私のようなお客様がたくさんいるのですね。効率的で正当な価格になれば不動産業界はもっと活性化しそうですね。
遊びに飽きて仕事に夢中、
起業を決めたのは学生時代でした。
廣澤 なぜ針山さんは不動産業界で起業をしようと思ったのですか。
針山さん もともと僕は子供の頃すごくボロい家に住んでいたのですが、小学生の時に親が奮発して新しい家を購入したんですね。当時すごく嬉しかったのを覚えています。それがきっかけで住宅への強い思いが生まれました。
起業に興味を持ち始めたのは大学生時代からですかね。きっかけは、大学2年生の頃にやっていたベンチャー企業でのインターンです。それまでは遊ぶことが人生の幸せだという仮説を立てて遊んできましたが、遊び尽くしてしまい、飽きてしまったんです。インターンでは飛び込み営業を経験したのですが、私はどちらかというと口下手なタイプだったので、初めは全くうまくいかなくて。ただ面白いことに、少しずつ結果を出せるようになると「仕事」の魅力にどっぷりハマっていたんです。
できないことはできないと分かるし、結果を出せばフィードバックが返ってくる。そんなベンチャー企業はめちゃくちゃ面白いなと気づきました。そうしているうちに「自分でビジネスをやったら面白そうだな」という気持ちが芽生え、将来起業しようと決意を固めたんです。
廣澤 そうだったんですね! でも針山さんは起業する前に就職をされていますよね?
針山さん 起業する前に2社で経験を積みました。僕はもともと自分に自信がない方だったので失敗しないようにある程度その業界の知識やノウハウを身につけたかったのもありますね。今思えばもう少し早くから起業しても良かったかな(笑)。
廣澤 どのような就職活動をされていたんですか?
針山さん 僕はもともとやりたいことがある程度決まっていたのですが、就職活動では一度フラットな目線で、あらゆる業界を大手からベンチャーまで幅広く見ていましたね。結果としてはいろんな会社から内定を頂けました。財閥系のディベロッパーからも内定を頂いていたのですが、作り手本位のディベロッパーより「お客さんと直接関わる」仕事がしたくて、開発から販売まで一貫して行っている会社を選びました。
まず、1社目は不動産業界のベンチャー企業です。そこに決めた理由は、自分の好きな業界だったし、その当時急成長中のベンチャー企業だったからです。急成長する会社のノウハウを学べると思い、大手ではなく敢えてスタートアップ企業を選びました。今ではその会社は東証一部上場企業で、さらに成長を続けています。そこで仕事ができたからこそ、業界の抱える問題、つまり「IT化の遅れ」に気がついたんです。
そこで転職をしてITのノウハウを学ぶことにしました。【楽天】に入社して、システム開発やウェブマーケティングなどに関わりながら、学んでいったんです。そして「ある程度知識やノウハウを習得したし、後はもうやりきるしかない!」と思い、28歳の時に起業しました。
廣澤 起業をする前から自分がやるべきことをよく理解して、着実に目標に向かってキャリアを積んでこられたんですね。
廣澤 針山さんは最終的に大企業を断ってベンチャー企業に決められましたが、どちらの企業も経験された今、大手とベンチャー企業を比べて、入社するメリット・デメリットがあれば教えていただきたいです。
針山さん それは、人の生きるスタンスや働き方によりますが…大企業は、大手フィルターを潜り抜けてくるので、優秀な人材が多い点や確立されたビジネスモデルが存在するので質と量を高めれば結果が出ることがメリットですね。逆に社内序列や習慣などで自由に働ける範囲が少なく、自分の成果が見えにくいというデメリットがあります。
ベンチャー企業は、スモールビジネスをしている中小企業から、これから急成長する企業まで玉石混合なので、まず自分で取捨選別する目が必要です。後者は、本当にタフですが、自分たちが事業を1からゼロベースで作れるし、成果が目に見えて分かるのでめちゃくちゃ楽しいと思います。ただし、中途半端な気持ちで入ると放置状態になってしまうので、自分で考えて行動できる人が向いていると思います。
廣澤 自分の頭で考えることができて、新しいことにどんどん挑戦したいという人はベンチャー企業に向いているのですね。
目指すは、東京証券取引所みたいな場所
廣澤 Housmartさんの将来的な目標を伺ってもよろしいでしょうか。
針山さん 我々は最終的に暮らしのプラットフォームを作りたいと思っています。プラットフォームって、楽天型、Amazon型の大きく2つに分けられるんです。楽天型のビジネスモデルは、店舗とお客様を集めてマッチングさせ、手数料をいただく。現在はこういった形が多く、プラットフォームの王道です。リソースも少なくて済むので利益率も高く、成長も早い。
一方でAmazon型は自社で商品を仕入れ、お客様に直接商品を提案するモデルです。自社で直接オペレーションを整備する必要がありますし、成長に時間がかかる。ノウハウが必要なので工数もかかります。
でも、弊社が目指す方向はAmazon型です。大切にしているのは「誰からお金をいただいているか」なんです。楽天型は店舗からお金をいただくビジネスモデル。「お金をいただている側=利益を最大化する相手」なので、店舗側の利益を最大化しなければなりません。弊社がこのビジネスモデルを導入すると、検索したときに関係ない物件や商品が出たり、LPが長かったり、お客様へ広告メールが頻繁に配信されたりします。
それに対しAmazon型は消費者からお金を頂戴するので、消費者ためのサービスを磨き上げられれば、サービスを大きくしていくことができます。僕たちが大切にしなければいけないのはお客様。だからAmazon型を目指しているんです。
廣澤 どんなときでもお客様ファーストの意識を大切にされているのですね。
針山さん はい、お客様から長文でお礼のメールをいただくこともあって、そういうときはとてもうれしいですね。
将来的には、不動産領域の東京証券取引所みたいな場所をつくりたいと思っています。株価ってYahoo!ファイナンスといったサービスを見れば誰でも分かるし、分かる人が売買していますよね。ただ不動産業界ではそういった具体的な指標が浸透していなくて。
土地や家の価格の適正金額や売買の際のリスクを不動産業界の人は知っているけど、お客様は知らない。これってフェアじゃないですよね。そうなると不動産業界は尊敬されないし、優秀な人はこの業界にこない。業界全体がシュリンクしてしまいます。僕らは情報をオープンにして、買主主体の業界をつくっていきたいんです。
廣澤 社会的にとてもインパクトのある目標ですね!社員の皆さんもきっと同じように熱い思いを持っていらっしゃるのですね。
あったかい組織にしたいから
求める人材は「温泉力」のある人。
廣澤 御社の社風はどのような感じなのですか?
針山さん そうですね、みんなポジティブです。社内もめっちゃ明るいですよ。20代後半から30代が多いので元気ですね。みんなでご飯を食べに行く機会も多いですし、メリハリが効いています。また来年から弊社は4期目なんですが、新卒第一号が入社するんです。今後は新卒・中途併せて20名、来期で50名、さらに次の期で100名を目指しています。
廣澤 どんな人と一緒に働きたいですか?
針山さん 自分で考えて行動するのが好きな人ですかね。あとは「温泉力」がある人。これは僕の造語なのですが、とにかく話していると体が温かくなる人。話していると気持ちよくて、元気になる。そんな人材が多ければ、あったかい組織になると思うんです。具体的に言うと、打ち合わせでバチバチディスカッションしてその場を終えた後、またなんか会いたくなる。そんな人材が欲しいですね。仕事ができればいい、というわけではないんです。
廣澤 ありがとうございます。それでは最後に就活生へメッセージをお願いします!
針山さん 今はすごく面白い時代だと思います。特に若い人にチャンスがある。一昔前はロールモデルをコピーした形がよしとされていたから上司の言うことは聞くべきだし、大企業が大企業になりえた時代でした。でも現在は、経験を積んでいるということがアドバンテージではなくなってしまった。つまり頭でいかに考えられるかが大切な時代なんですね。だから自分の直感を信じて行動してほしいです。もう親の世代の常識が通用しなくなってきていると思います。いい大学を出ていい会社に入ることが100%正解ではなくなってしまったんです。だからこそ、面白いことをやりたくて自分の頭で物事を考えていきたい人にとっては非常にチャンスだと思うので、ぜひ心惹かれるほうへチャレンジしていってほしいと思います。
廣澤 私も就活に向けて、自分がチャレンジしたいことをしっかり考えたいと思います。針山さん、お忙しい中、どうもありがとうございました!
リンク:「人工知能とビックデータを活用した中古マンション売買・不動産テックサービス「カウル」(https://kawlu.com/market)」
インタビュー:2017年9月