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InstagramやTikTokなどのSNS、YouTubeなどの動画共有サイト、LINEのようなメッセージングアプリ、Amebaブログのようなブログサービスなど、若者を中心に日常的に使われているソーシャルメディア。
こうした相互コミュニケーションのできるサービスやプラットフォームを活用したマーケティング手法「ソーシャルメディアマーケティング」をメインビジネスとして成長を続けているのが、「サイバー・バズ」だ。
2023年度の売上高は過去最高の57億5700万円で前年に比べ134.9%の増加、営業利益は3億9100万円で前年比172.2%増加となっており、2024年に入っても成長を続けている。
サイバー・バズが成長を続ける理由とは。
ソーシャルメディアマーケティングのビジネス価値と魅力はどのようなものか。同社本部長の辻孝明氏に話を聞いた。
<会社概要>
〈プロフィール〉
テレビから「ソーシャルメディア」へ
── ソーシャルメディアの位置づけは、いまどのように変化してきたのでしょうか。
辻さん(以下、敬称略)
近年、タレントやアイドル、アーティスト、アスリートなどの方々が、SNSやブログを通じて結婚や出産などの発表をすることが当たり前になっています。
昔は著名人のライフステージにおける変化などを発表するのはテレビ番組や記者会見でしたが、いわゆるトレンドセッターとなる著名人たちがソーシャルメディアを活用し始めたことで、徐々に同様の使い方をする人々が増えてきました。
そうしたなかソーシャルメディアは、いまや企業によるビジネス活用も増えています。
SNSをはじめとしたソーシャルメディア全体として、ユーザー数は年々増加し続けています。
“テレビ離れ”が叫ばれるなか、企業はソーシャルメディアを活用することで消費者へダイレクトにアプローチしやすくなっています。
さらに企業から消費者へのアプローチだけでなく、たとえば「これSNSで見た」といった具合に、一人のユーザーの投稿から話題になることで情報がバイラルに拡散する。
ある投稿を見て商品を買ったり、お店に行ってみたりする行動は、消費者の間では日常的に起きています。
こうした効果を実感してきたことから、企業によるソーシャルメディアのビジネス活用はますます増えています。
WEB広告市場は、テレビ、雑誌、新聞、ラジオ広告の市場規模を2021年に追い抜き、その差はますます開いています。
主要4媒体でも最大のテレビ広告費は、2023年で約1兆7000億円となっていますが、我々の調査では、ソーシャルメディアマーケティングの市場規模は2027年にはテレビ広告費の規模を追い抜く見込みです。
ソーシャルメディアのユーザーは増え続けており、企業にとって今後ますます魅力的な市場になっていきます。
他の追随を許さない「規模と歴史」
──ソーシャルメディアマーケティングに強みを持つというサイバー・バズは具体的にどのようなビジネスを展開しているのですか。
我々のソーシャルメディアマーケティングには3つの柱があります。
まず「インフルエンサーサービス」。
比較的小規模なマイクロインフルエンサーから、トップタレントまで、ソーシャルメディア上で影響力のあるインフルエンサーを当社でネットワークしており、企業のプロモーションに起用。認知拡大や売上向上を狙ったマーケティング支援を行っています。
2つ目が「SNSアカウント運用」。
最近は企業がSNSアカウントを持って運用するケースが増えています。
ただ、何を発信すればいいか、どのような見せ方が効果的か、フォロワーをつけるにはどうすればいいかなど、運用に迷いを持っている企業も多くいます。
我々はそうした課題を持つ企業に対して、プロの視点から運営のコンサルティングをし、SNS活用のサポートをしています。
3つ目は、「インターネット広告販売」です。
YouTubeでもInstagramでも、見ているとさまざまな広告が出てくると思います。
そうしたSNS内に掲載される広告を、動画制作、写真撮影、デザイン、イラストや漫画、テキスト、音声に至るまで、企業に合わせてあらゆる手法で制作しています。
さらにインフルエンサーを起用して投稿していただいた企業のPRを、さらに広告素材として使用するといった、事業を掛け合わせたサービス展開もしています。
──スタートアップなど競合プレイヤーも数多くいますが、サイバー・バズの特徴はどこにありますか。
SNSマーケティングに必要なサービスを網羅的に、ワンストップで提供できることです。
たとえばインフルエンサーの事業などは、立ち上げようと思えば学生でもできるでしょう。
インフルエンサーの起用や投稿依頼の支援などであれば個人でも少数でも可能ですし、実際にそうした、「部分的」なサービス提供をしている企業は数多くあります。
ただ、参入障壁は低い一方で、その規模を大きくするのは容易ではありません。
我々は複数社の大手芸能事務所と提携し、数多くのナショナルクライアントとのネットワークを構築しており、トレンド・アルゴリズムの分析も提供しています。
近年では薬機法やステルスマーケティングの法規制なども強まっているため、社内に審査体制を整えることで法律面にも対応しています。
さらに、グローバルプラットフォーム企業とも密に連携しながらサービスを向上させているため、最新トレンドを確実にキャッチアップしながら提案に結びつけられます。
また、開発を内製化していることも大きな強みです。
社内にエンジニア組織を持つため自社でサービス開発を進めることができます。
サービスや案件ごとに数値データを取得し蓄積することで提案やマーケティングに活用できるため、迅速にサービス改善を進めることが可能な体制ができています。
プラットフォームと連携し、データを的確に活用しながらワンストップで網羅的なサービスを提供できる。
我々にとって、どれが欠けても良いサービスにはなりません。
これらを追求し、顧客満足度を高めてきた結果、創業から現在まで業績は右肩上がりで成長し続けています。
業界の「パイオニア」
──サイバー・バズはサイバーエージェントの子会社として2006年に設立されましたが、当時からソーシャルメディアマーケティング市場を開拓する狙いがあったのでしょうか。
創業当時は、Twitter(現X)もInstagramどころか、まだスマートフォンもない時代でしたから、「ソーシャルメディアマーケティング」という言葉は現在のように一般的ではありませんでした。
その頃に流行していたのはブログです。
ただ、ブログのビジネス活用が進んでいたわけではなかったため、サイバー・バズはブログのビジネス活用促進を狙い、ブログマーケティング企業として立ち上がりました。
他にもブログサービスを展開する企業は存在していましたが、ブログをビジネスに取り入れた企業はその当時ほとんどありませんでした。
ただ、ご存じの通りサイバーエージェントには、ブログをいまも数多くの方に利用いただいており、サービスのナレッジを蓄積してきました。
その強みを活かして市場開拓を図ろうと設立されたのが、サイバー・バズです。
──ソーシャルメディアマーケティングへと参入したきっかけは何だったのでしょうか。
サイバーエージェントには、“あした(未来)”に繋がる新規事業や課題解決の方法などを提案、決議する「あした会議」があります。
我々のソーシャルメディアマーケティング事業への参入はそこで決定しました。
ブログサービスをマネタイズしていくことになり、これが現在で言うソーシャルメディアマーケティング事業の始まりですが、ブログマーケティングでは一定の成功を収めてきたものの、他のプラットフォームを活用したソーシャルメディアマーケティングについては、必ず成功するという確信はない状態でした。
ただ、「個人の影響力は今後もっと大きくなっていく」と確信していた代表の髙村は、ソーシャルメディアの市場は大きく伸びると予想していました。
そこで強みを活かし、自社の専門領域に特化してシェアを取ることができれば、企業は間違いなく大きくできる。
その意味でも、成長が期待される市場に“張る”という、ひとつの挑戦として事業進出が決まりました。
ブログのビジネス活用を開始した創業当時のように、ソーシャルメディアという言葉すらも主流でなかった頃にいち早くビジネスに取り入れたのです。
それから18年間にわたりノウハウと実績を積み上げ、多くの顧客との関係を構築してきました。
企業と向き合い、消費者と対話する
──仕事として、ソーシャルメディアマーケティングの面白さはどのような点にありますか。
いくつかあります。
まず、私たちの顧客はナショナルクライアントが多いため、自分の良く知っている商品のマーケティングに携われるのは、面白さを感じやすいのではないかと思います。
それも、自分がよく知っていたり、個人的に使っていたりする商品やサービスに、別の商品、あるいは自身のアイデアを、掛け合わせてマーケティング方法を提案できる。
その施策によってモノが売れたり、認知が高まったりすると、クライアントから高い満足度をいただけます。
そうした結果は、自分の提案した方法で、エンドユーザーに商品の良さがきちんと伝わった証拠でもある。
企業を顧客とするBtoBの仕事でありながら、一般消費者とも向き合うため、BtoCの側面も併せ持っています。
しかもソーシャルメディアなので、いいねやコメントがもらえるなど、ユーザーの反応がダイレクトに把握できる。
施策の結果がすぐに可視化されて跳ね返ってくるため、次の施策を回すサイクルも高速化し、かつ短期間で多くの成長と学びが得られます。
会社としても、ソーシャルメディアマーケティング市場としても、成長し続けているため次々に新しいチャレンジができる。
サイバー・バズには、若手も大きな提案や挑戦をすることを推奨する環境があります。
自発性がものを言う、圧倒的な成長環境
──挑戦を推奨する環境をつくっている要素としては、たとえばどのようなものがありますか。
サイバー・バズの大切にしているバリューのひとつに「自考自創」というものがあります。
文字通り「自分で考えて自分で創る」という意味の言葉です。
市場に対しても、顧客提案においても、新規事業の開発でも、自分たちで学びながら考え、新しいものを創り出していくことを大切にしています。
先ほど紹介したサイバーエージェントの「あした会議」のように、サイバー・バズでも「自考」と「自創」の頭文字を取った「JJ会議」という会議を年に2回、実施しています。
役員が社員をドラフトしてチームを組み、集まったメンバーで準備を重ね、社長に新規事業やサービスを提案し、決議する場です。
「新しくこんな子会社をつくった方がいい」「この事業はこうした方がもっと良くなる」といったものから、組織体制の変更や、役員の管掌範囲についての提案、新しい人事制度づくりや、組織活性化の施策など、バラエティに富んだアイデアが生まれており、実際に進んでいるものもあります。
他にも、「NewCon(ニューコン)」という新規事業やサービスを考えて提案できるコンテストや、ポジションごとに異動希望者を社内公募する「ジョブチャレ」という人事制度、さらに最近では、メンバーがマネージャーに立候補する「マネチャレ」など、社員が自主的に学び成長できる環境をつくり続けています。
──成長市場にあっても、現状に安住してはいないと。
むしろ変化を求めており、変化を促すアクションを起こしてくれる人を歓迎しています。
先ほど紹介したNewConでは、若手が積極的に先輩を誘って応募するケースもありました。
別のケースでは、社内のアイデアにとどめずプレゼンまでに関係企業へアポイントを取って話をしたうえでプレゼンをするなど、自主性の高い社員が非常に多いのが弊社の特徴です。
提案の場と言っても、ただ情報を集めて資料にまとめるだけでなく、実際に動き出せる状態に持っていくことで具体性が増します。
いち早くマネージャーになろうと考えていたある若手社員は、マネチャレの制度で公募が出て5分で応募していました。
これはただチャンスに飛びついているだけではありません。
そこまでに自分の思いや貢献意識を沸々と沸かせながら、いざチャンスが来たときに飛びつけるように準備している。
チャンスが来たらすぐに動けるよう、いつも未来を見据えて考えているからこそ、そんな行動ができるわけです。
語弊を恐れずに言えば、ある意味で“勝手にやる”ような、能動的に動いてみる力が重要です。
弊社はそんな自発的な思考と発想を楽しめる人材を求めています。
逆に言えば、やりたいことが多い人は、サイバー・バズなら自分たちで次々に形にしていけるため、様々な経験や成長ができるでしょう。
ソーシャルメディアマーケティング市場は、これからまだまだ大きくなります。
新たなソーシャルメディアが生まれる可能性も十分にあるでしょう。
新卒であることなど関係ありません。
「市場を牽引する」「役員や社長まで上り詰める」といった、思い切り駆け出すような熱量の高い新卒メンバーに入ってきてほしい。
若い力を活かすチャンスは無限にある会社です。
自分がこれからの市場の新たな世界観をつくっていこうと、そんな気概のある人材に入ってきてほしいと思っています。