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皆さん、こんにちは! シンアドインターン生のエリンギこと廣澤衣里(@hallheart_erngi)です。今急成長中のベンチャー企業をインタビューするこの企画、第4回目はポイントサービスを中心としたスマートフォンメディア事業を展開する、「株式会社セレス」にお邪魔しました。同社は、国内最大級のポイントサイト「モッピー」や「モバトク」などを運営する一方で、O2O(Online to Offline※)領域にも積極的に投資しているんだとか。そんなセレスさんの実態を探るべく、同社取締役員の小林保裕(こばやし・やすひろ)さんと、新入社員の今井菜月(いまい・なつき)さん、佐藤柚果(さとう・ゆうか)さんにインタビューしました。
※Online to Offline ネット上(オンライン)から、ネット外の実地(オフライン)での行動へと促す施策のこと
<お話を聞いた人>
株式会社セレス 常務取締役 兼 管理本部長
小林 保裕(こばやし・やすひろ)さん
いちばん大切にしていたのは「誰と一緒にやるか」。
だからこそセレスで働きたいと思った
エリンギ 御社の事業内容を教えていただけますでしょうか。
小林さん 弊社は、大きく分けて2つの事業を行っています。ひとつはスマートフォンメディア事業、そしてもうひとつがO2O(オーツーオー)領域への投資育成事業です。スマートフォンメディア事業では、「ポイントサービス」を行っています。現在、弊社のポイントサイトには3000~4000件程の広告を掲載していて、それを320万人のユーザーに見てもらい、そのインセンティブとしてポイントを支給しています。広告主から広告料をいただき、その一部をユーザーにポイントとして還元するという、いたってシンプルなビジネスモデルです。
もう一つの投資育成事業は、オンライン・トゥ・オフライン、つまり、オンライン上の行動履歴をビックデータ化し活用して、オフライン上の行動に影響を与えるといったイメージですね。我々は今後そのO2O領域に進出するために、仮想通貨、「ビットコイン」関連事業への投資を積極的に行っています。
エリンギ どうもありがとうございます。小林さんは転職をしてセレスに入社されたとうかがっているのですが、もともとスマートフォンメディアにご興味をお持ちだったのですか?
小林さん いえ、セレスとは、以前証券会社に勤めていた時に、あるベンチャーキャピタリストの方に紹介してもらったのが最初の出会いでした。
エリンギ 証券会社で働いていらっしゃったのですね。どのような経緯でセレスに入社されたのでしょうか。
小林さん 私は初め第一生命保険で資産運用のファンドマネージャーとしてベンチャーキャピタリストのような仕事をしていました。ちょうどその頃はネットバブルの時代で、世の中に新しい価値を生み出して株式上場する多くの経営者を見ていたので、より直接的に株式市場にデビューをするお手伝いがしたいと思い、三菱UFJモルガンスタンレー証券に転職したんです。そこでは株式上場を目指す会社の発掘や上場準備の手伝いをして、2年間で11社の企業に携わり、1社上場させることが出来ました。そこで今度は、自らがベンチャー企業に入って事業をつくる側になりたいと思うようになって。そんな時に、もともとクライアントだったセレスの代表に、六本木の焼き肉屋で「一緒に事業をやらないか」と口説かれたんです。(笑)
エリンギ ヘッドハンティングでセレスに入社されたのですね。セレスのどんなところに魅力を感じられたのですか?
小林さん 私は、事業内容よりも「誰と一緒にやるか」のほうが大切だと考えています。インチキをしない人、純粋に事業の事を考えてくれる人と一緒に働きたいという思いが強くて。実際、株式上場した途端に人格が変わってしまう経営者を多く見てきたので。その点、当社の代表はとても信頼ができるので、一緒にやってみたいと思ったんです。
エリンギ これまでたくさんの上場企業とお仕事をされてきたからこそ、「誰と一緒に働くか」の大切さをご存知だったのですね。さらにさかのぼりますが、小林さんは学生時代、どのような軸を持って就職活動を行っていたのですか。
小林さん 私の会社選びの軸は3つありました。まず、一つ目は「世の中に何らかの価値を提供できること」。これまでの様々なキャリアの中で、社会に対するアプローチ方法は間接的なものから直接的なものには変わりましたが「新しいビジネスを支援することで世の中に価値を与えている」という点で自分の中で一貫した軸を持っていると思っています。
二つ目は「高いお給料をもらえること」です。なぜなら「お金は社会に対する議決権」だからです。これは、大学時代にゼミの先生が仰っていて感銘を受けた言葉です。いいと思うモノを買ったり、いいと思うサービスを使うことで世の中がより良くなると思うんですよね。お金は、それを行使する議決権、だからその議決権は多く持っていた方がいいですよね。
そして最後はやっぱり「一緒に働く人」ですね。
エリンギ 「お金は社会に対する議決権」と考え方、一見厳しい言い方のように聞こえますが、社会に対して貢献していく上では議決権を持っている方が良いわけですし、今のお話を聞いて、お金を稼ぐということに対する見方が少しかわりました。
仮想通貨は法定通貨との
補完的な関係によってシェアが拡大する
エリンギ 御社の投資事業で、「仮想通貨」というワードが出てきましたが、今後ビットコインなどの仮想通貨を使って何か新しい事業を考えていらっしゃるのですか?
小林さん そもそも、我々が発行しているポイントも、現金や電子マネーに交換できるのである意味「仮想通貨」と言えると思います。ビットコインやブロックチェーンに関しては、現段階では直接的にビジネスに繋がるようなことはまだ行っていませんが、今後それらを使って何かビジネスをつくれるだろうと思い、投資しています。
エリンギ 今、ビットコインは世界でどの程度浸透しているのでしょうか。
小林さん ビットコインの時価総額は現在8兆円と言われています。まだ世界でもシェアは小さいのですが、今後法定通貨と共存していく形でどんどん普及すると考えられます。
ビットコインは、円やドルなどの法定通貨とは違って、管理している人がいない「アンセントラル」な通貨なので明確な住み分けができます。法定通貨は発行している政府が信用の保管をしていますが、ビットコインのような仮想通貨の場合、「ブロックチェーン」という改ざんが極めて難しい仕組みで管理しているのでより信用できます。
つまり両方の通貨は補完的な関係になるんです。例えば、ギリシャ危機が起こった時、ビットコインの価格が高騰したというのはこの一例ですね。国家が財政危機に陥った時にリスクヘッジになるので、今後仮想通貨のシェアは増加すると考えられます。
法定通貨と仮想通貨、どちらがいいというわけではなく、それぞれの状態や行政に応じて使い分けられるようになってきていますし、そうなるべきだと思います。
ポジとネガが共存するWEBサービス
だからこそ、「信頼」を大事にしたい
エリンギ ポイントサイトについて教えてください。私の周りでもポイントサイトが流行って、チェックしていました。もちろんサイトによりますが、中には怪しげなサイトもあって。あまりよくない印象を抱かれてしまうこともあると思うのですが、いかがでしょうか。
小林さん はい、その通りですね。怪しいサイトも正直ありましたね(笑)。たとえば、コミュニティをつくるWEBサービスは、疎遠になっていた人と繋がれるという社会的価値がある一方で、不特定多数の人と繋がれるので出会い系として悪用されてしまうこともありますよね。このようにベネフィットとネガティブな部分、そのどちらも生まれてしまうのは当然なので、ポイントサイトにも、ポジティブな部分と、悪用されてしまうようなネガティブな部分があるのだと理解しています。
しかし、一部の悪徳なポイントサイトによって、歪んだイメージができてしまっただけで、信用できるサイトもたくさんあります。インチキ商売をするような会社は、自然とユーザーがそれに気づいて離れていくので、市場でも生き残れないでしょう。
私たちは「信用」をとても大切にしていて、永続するサービスをやっていきたいので、広告掲載基準を厳しくする、不誠実な運用をしないなど気を付けています。株式上場したのも、ポイントサイトへの信頼度を高めるためでした。
保守的な人ではなく、
多様な人材が競争力につながる
エリンギ 競合の企業もあると思うのですが、セレスならではの強みは何ですか?
小林さん ポイントサイトの機能自体は他社とほぼ変わりません。当社ならではの強みはサイトを運営するオペレーション能力(ノウハウ)です。利益率の悪化や機会損失を生まない、最適なオペレーションだと思っています。
エリンギ そのノウハウはどのようにして培ってこられたのでしょうか。
小林さん 競争力の源泉は人がつくります。だからいかにユニークな人材を集められるかが勝負だと思っています。当社は中途採用で入社した社員が多く、いろんなバックグランドを持っている人が開発に関わっています。ポーランド人などの外国人もいますし、もと公認会計士、アパレル販売、元芸能人までいるんです。そうすると、過去に違うビジネスをしていた人たちがそれぞれの視点で見るので、死角が少なくなる。それが10年間折り重なった結果、今のノウハウがあるのだと思います。
エリンギ 社員同士でもインプットできることが増えそうですね。では、今後はどんな人と一緒に働きたいですか?
小林さん 今いない人材がほしいですね。現在120人程度の会社ですが、ITの領域で競合に勝つためには常に新しいものを生み出す必要があります。それは保守的な人ではない。狂ったAさんと変態なBさんが一緒に働くことで生まれた何かが、競争力につながると思っています(笑)。
当社は代表が何度も起業をしている人なので、将来自分でビジネスを持ちたいと考えている人にはいい会社だと思いますよ。ひとつのことを極めていくというよりは、カバー範囲を広く持つ働き方ができる人が向いていますね。
それからもうひとつ。本人なりの理屈でやりたいことが明確になっている人が良いですね。仕事で普段やる作業はしんどいですが、この大変さはお給料だけではまかない切れません。では、何でまかなえるのか。それは、仕事に意味を見出せているか、つまりやりたいことができているかなんです。
新卒採用で自社の説明はしない
学生の「やりたいこと」を引き出して採用につなげる
エリンギ 新卒採用でも「やりたいことが明確かどうか」を重視されているのですね?
小林さん 私たちは、学生さんとお会いするとき、自分たちの会社を説明しません。それよりも「何をしたいのか」をひたすら聞きます。明確になっていないなら「やりたいこと」を固める作業のお手伝いをするんです。一緒に伴走していくイメージですね。
エリンギ それでは、セレスに入社するしないにかかわらず、出会う学生に対しては同じように接していらっしゃるのですか?
小林さん そうですね。そこでもし、「やりたいこと」ができる可能性が高いのがセレスなら、選考に進んでもらって、学生さんと私たち企業のお互いが納得するまで話し合います。だから、入社後にやめたいと思うことがあっても「何のために入社したのか」が明確になっているので、辞めないし諦めません。
エリンギ セレスの魅力をただ伝えるのではなく、学生ひとりひとりの人生に寄り添っていらっしゃるんですね。就活生にとってそれはとても信頼ができますし、心強いです。でも、やりたいことがわからない、という学生も多いと思うんです。どのようなアドバイスをされますか?
小林さん 目を閉じて仕事をしている自分を想像してみる。そこで最初に思い浮かぶことがやりたいこと。それまで過ごしてきた21年間の人生の経験が、それを言わしめているわけです。そうしてなんとなくやりたいことが思い浮かんだら、それに対してロジカルな理由がつけられれば良いのだと思いますよ。
エリンギ “なんとなく働くイメージが沸く”ことが「やりたい」につながるのですね。私も漠然としてですが、やりたいと思っていることがあるので、それをもっとロジカルに説明ができるように努力していきたいと思います。小林さん、今日は本当にどうもありがとうございました。
ベンチャーだけど、“根性論”はない(笑)。
セレスは、合理的で納得感を持って働ける会社
学生とじっくり話し合って採用を進めているという株式会社セレス。新入社員の皆さんはどのようなモチベーションで働いているのでしょうか。入社半年の新卒社員のお2人にもお話をうかがいました!
<お話を聞いた人>
メディア本部 マーケティンググループ
今井菜月(いまい・なつき)さん
佐藤柚果(さとう・ゆうか)さん
エリンギ 入社して半年のお2人は、今どんなお仕事をされているのですか?
佐藤さん 最初は研修期間があったので、配属されて4カ月が経ったのですが、今は広告代理店の方とのやりとりや、自社メディアの企画やキャンペーンを行う上でのディレクションを行っています。
今井さん 私は、自分が担当している広告の種類があるので、その広告が売り上げを伸ばせるような企画を立てて、リリースするところまでを自分たちで担当してやっています。
エリンギ どんなときに面白さを感じますか?
佐藤さん 自分が企画したものがリリースされて、さらにユーザーに使ってもらえたときに楽しさを感じますね。
今井さん 自分が担当した広告代理店さんの売り上げが、自分が頑張ったぶんだけ上がったときや、大きな変化があったときにやりがいを感じます。
エリンギ 配属後たった4カ月なのに、もう結果を出しているんですね、すごい! そもそもお2人は、セレスさんにどんなイメージを抱いて入社されたのでしょうか?
今井さん チームで協力して仕事をするという印象がありました。それから、合理的で、感覚で物事を判断しないというイメージも。誰にどんな利益があるからこの仕事をやる、という仕事の“ものさし”がはっきりしているなと。そのイメージは入社後も変わりません。ベンチャー企業でよく聞く“根性論”もないし、ひとつひとつの業務に納得して取り組めます。
佐藤さん 就活中、「やりたいことをやらせてあげる」と言ってくれる会社はたくさんありました。でもセレスは「当社なら、君のここに期待していて、こういうことをやってほしい」ということまできちんと理由をつけて語ってくれたんです。さらに、6人ほどの社員とも話す機会を与えてくれたので、社内の雰囲気も知ることができて。だから働く環境がとてもイメージしやすかったんです。
配属後4か月。大切なのは
“説得力”と“責任”を持てるかどうか
エリンギ 小林さんのお話でもうかがった通り、学生ひとりひとりに対して真摯に向き合って採用活動をされているのですね。研修期間が終わり、配属されてからまだ日が浅いとは思うのですが、やっぱり忙しいですか?
2人 忙しいです(笑)。
今井さん 思っていた以上に責任が重いですね(笑)。でも「こんなにやらせてくれるんだ!」という感じでやりがいにつながっています。
エリンギ やりたいことをやらせてもらえる環境なのですか?
佐藤さん そうですね、もちろん、やりたいことをやるためには、上司を説得しないといけません。「なぜこれをやるのか、やることによってどんな利益が生まれるのか」をきちんと説明できれば考慮してもらえる環境です。でも、いざ「やれる」となると、「あとは任せたよ」といわれるので、責任はとても重いです。
エリンギ 入社4カ月ですでに責任を持ってお仕事をされている中で、苦しかったな、と思うことってありますか?
佐藤さん 毎日やらないといけないことがあって、一つ終わってもすぐに新しい仕事が追加される環境に慣れなかったことが辛かったです。8月の頭ぐらいにやっと慣れ始めましたが、それまでは必死で、記憶があまりないです(笑)。でも、落ち着いてくると、今度はやりたいことが見えてきます。やりたいことをやるためにどう工夫するべきかを考えるようになったので、今はもう辛くないですよ。
今井さん 今自分がやっていることは、以前に上司が担当していたことなのですが、どうしても経験の差があって、私ではまだ正確な判断を瞬時に行えないことがあります。それが積み重なると、辛いですね。最近、判断基準がだんだんわかってはきましたが、やっぱりまだ自信が持てないこともあって、“自分ひとりにまかされても大丈夫!”と言い切れないもどかしさはあります。
佐藤さん でもさ、その比較対象ってもう10年目のベテランの上司だよね(笑)
今井さん そうですね(笑)。もちろんその都度質問はできるし、できなかったところは手伝ってもらえるので、先輩や上司はみんなとてもやさしいです。周りの人たちにカバーしてもらっているからこそ、仕事ができているんだなと思います。
エリンギ すでに多くを任されてきているのですね。
佐藤さん そうですね、良い意味で任せてもらえると思います。わからないときはヒントを聞いて、できるだけ自分できちんと考えて行動することを心がけています。
就活は、とにかく“足”を使ったほうがいい!
エリンギ それでは、最後に就活生に向けて応援メッセージをください。
今井さん 足を使って就活することをおすすめします。インターネットで調べることは誰でもできるけど、実際に現場に行ったり企業の人に会いに行ったりして話を聞くと、そこで得られた情報は自分だけの情報を持つことができるんです。その情報を踏まえてしっかり考えて、その選択はこれでいいんだ、と納得できるようにするべきだと思います。
佐藤さん 私は地方だったから、地方に来てくれる会社としか会わないようにしているとそこで終わってしまうと思って東京に出てきました。関西の中だけで完結するよりも、就活を楽しむためにも足を動かして東京に出てくるのも良いのではないでしょうか。
エリンギ 足を使って就活をする。私もこれから就活がはじまるので、心に留めておこうと思います! 今井さん、佐藤さん、今日はどうもありがとうございました。
取材:エリンギ(@hallheart_erngi)
撮影:吉田和夫