インタビュー 2025.08.28
目指すのは新卒から5年で「経営人材」に。なぜ【オークファン】は「起業家インキュベーションコース」採用を始めたのか。

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    国内最大級のショッピング&オークション相場検索サイト「aucfan.com」やBtoB向け卸売り・仕入れプラットフォーム「NETSEA」などを運営し、BtoB卸売市場のDX化を中心にさまざまな事業を展開する「オークファン」。

    海外を含む新規事業の立ち上げなど会社の成長変革期において経営人材の確保のため、オークファンでは将来の幹部候補を育てる「起業家インキュベーションコース」採用を2024年から始めました。

    なぜこの採用が始まったのか、入社後はどのようなキャリアパスを想定されているのか。

    実際に起業家インキュベーションコースで採用され、現在はライブコマース事業の立ち上げメンバーとして業務に取り組む服部浩明さんと人事責任者の荒井浩二さまにお話を伺いました。

     

    〈プロフィール〉

    服部 浩明
    京都大学工学院 工学研究科卒業。2024年に「起業家インキュベーションコース」の1期制生としてオークファンに入社。入社してすぐに事業部長直下にて社長直轄プロジェクトでもある主力プロダクトのアフィリエイトシステムの企画・構築を担当。入社半年で新規事業であるライブコマース事業の立ち上げにアサインされ、現在も中心メンバーとして活躍中。

     

    なぜ「起業家インキュベーションコース」が必要だったのか。

    ―――服部さんは「起業家インキュベーションコース」採用で最初に新卒で採用されたそうですね。

    服部さん(以下敬称略): そうですね。就職活動の軸として、自分自身が成長できることを一番の軸としていました。

    もともとは中学・高校とサッカーをしていた時のコーチが実業家の方で。その人の「世間に対してチャレンジをしていけ」という言葉に感化されて、仕事に対して熱量を持って働くビジネスマンの方々にキラキラとした憧れを持っていました。

     

    同期の人よりも短いスパンでどんどん実務経験を積める成長環境を求めていたので、まさに就活軸に当てはまる採用だと感じていました。自分が入社して何年後にはこうなっていると、成長のイメージがつきやすかったですね。

    ―――具体的に「起業家インキュベーションコース」採用はどのような内容なのでしょうか。

    荒井さん(以下敬称略):株式会社オークファンはオークションの相場比較サイト「aucfan.com」の事業から始まり、BtoB向け卸売り・仕入れプラットフォーム「NETSEA」の事業買収などを経て成長を続けてきました。

    日本のBtoB卸売市場は、300兆円規模という巨大マーケットでありながら、FAXや電話注文などの旧来の商習慣が多く残る領域でもあり、小売店や事業者が必要な商品を探し、比較し、仕入れるプロセスは、いまだに属人的で時間もコストもかかるのが実情です。

    この「当たり前」とされてきたアナログな流通構造を、EC・データ・仕組み化によって誰もが使いやすく、スムーズに変えていくことを目指し事業拡大を行ってきました。

    そして現在さらなる成長を遂げるために、中華圏を拠点に海外BtoB市場への展開を開始しました。これまで培ってきたEC、流通の知見を活かし、輸入と輸出、オフライン領域も含めてさまざまな領域で事業展開を進める変革期を迎えています。

     

    実際に新規事業が立ち上がってきた中で、5年後、10年後のオークファンを考えた際に経営人材が不足してくることが予測される中で幹部候補を自分たちで育てようというところで始まったのが「起業家インキュベーションコース」採用です。

    これまでのオークファンの経営人材を振り返ってみても、新卒で採用されオークファンの文化を身につけながら複数事業を経験した社員が事業をリードする存在として活躍してくれるというケースが多々ありました。

    5年後には事業の中心を担う人材へ。

    ―――事業規模が大きくなるタイミングにおいて必然の流れだった訳ですね。このコースで採用された新卒の方はどのようなキャリアパスを想定されていますか?

    荒井:基本的には少数精鋭の採用となり、個人の特性に合わせて各事業部に配属されます。配属先によって異なる部分はありますが、一つの中間ゴールとしては5年で上場グループ会社の執行役員や事業部長というポジションを目指していただきます。

     

    まずは1年目〜3年目では社長、部長直轄のプロジェクトにアサインされ、部長直下でプレイヤーとしてマネジメントを受けられる環境を用意します。そこで、事業の運営、営業戦略、新規事業開発や経営企画の経験を積みながら、突き抜けた結果を出せるよう個別育成します。そこから4年目〜5年目でグループ会社の幹部として全社的に活躍できるような成長を遂げてほしいと。

     

    6年目以降はさまざまな可能性があると考えています。私としてはオークファン本社の経営メンバーとして残って事業を牽引してほしいのが本音ですが、自ら起業し上場を目指す道も応援しています

    代表の武永は投資家の一面もあり、独立に対しても積極的に支援すると明言していますし、そうした生まれる新しい繋がりがオークファン自体のさらなる発展にも必要になると考えています。

     

     

    ―――実際に1年間働いてみての印象はいかがでしょうか?

    服部:まず入社して半年間は「NETSEA」の部署に配属になりました。そこでは新規サービスの立ち上げや企画、社内外の方とアライアンスの企画といった、既存事業の中で新規企画をチャレンジさせていただきました。

    入社して半年経った頃にライブ配信中に商品を紹介し販売まで繋げる「ライブコマース」を新規事業として立ち上げるということで、その初期メンバーとしてアサインいただき0から新しいサービスを作ることに現在も取り組んでいます。

     

    入社してすぐに企画を担当し、社外の人と話せることは単純に嬉しい気持ちになりました。先方にとっては自分は社内を代表して参加しているんだという意識も芽生えましたし、何より社内外の人とチームで何か作ろうという機会がすぐに与えられたのは充実していましたね。

     

    ―――半年ですぐの異動。しかも新事業立ち上げということで驚きもあったのではないでしょうか?

    服部:そういった経験を求めて入社していたので「ぜひやらせてください!」の二つ返事でしたね。私自身もSNS世代ではありますし、自分がよく知っている領域での販売も面白そうだと感じていました。

     

    ―――実際に新規事業の立ち上げはどのように進んでいったのでしょうか。

    服部:もちろん新規事業なので会社に経験値がない状態から始まりました。なのでまずはとりあえずやってみようと。日本国内でライブコマースを行っている企業さんと一度協業できないか模索しました。私たちは自社で商品を有し流通経路まで持っている強みがあるので、そこを活かしてパートナーを見つけることができたので、10月から1月まではPoCをやっていました。

     

    ※概念実証。本格的なサービスの導入前に簡易的にテストを行い、問題点や価値を評価する検証プロセスのこと

     

    そこで、ライブコマースでの消費者の購買感覚とか、ライバー自身がニーズを感じている部分などデータを拾いつつ、実際に商品を届ける流通や受注部分の運用を確かめて方向性を決めていきましたね。

     

    圧倒的成長環境で自らリードしていく。

    ―――新規事業の立ち上げということで困難も多かったとお察ししますが…。

    服部:ライブコマースの市場自体が大きくないこともあり、数字として実績を出すことに難しさはありました。そもそも日本は海外と比べて「信頼できる人から買う」という動機があまりありません。日本製品は品質も高く、模造品なども少ないので実店舗で買えば充分なんです。

    ただ2025年6月にはTikTokのアプリ内でライブ配信を見ながら購入まで完結できる「TikTok Shop」という機能がリリースされるなど、SNSを通じて物を買うという行動がしやすい環境になりつつありますし、市場の伸びは実際に感じていますね。

     

    ―――成長市場に身を置くことでご自身の成長にも繋がりそうですね。ご自身の中で成長したと実感する部分やまだ足りないと感じている部分はありますか?

    服部:インターン時代を含めると約2年の間に3つの事業内容に関わることができましたし、職種で言えば営業からアライアンス業務、新規事業の立ち上げやマーケティングなど本当に幅広い経験を積ませていただきました。

    それぞれで必要な知識や働く中でしか身につかない感覚もありますし、将来的に経営人材になるためには「全部自分でできる」くらいの能力が必要になることを考えると、順調に成長できているのかなと。

    2025年4月からはライブコマース事業の組織も少し大きくなり、私もマネージャーとして部下がつくようになりました。

    一般論ではありますが、自分では理解できていることを他者に伝えるマネジメントやコミュニケーションの能力はいままさに伸びていると実感しているところですね。

     

    足りないものは…本当にまだまだ足りないものばかりです。

    組織を動かしていくための情報・行動の整理や、自分も含めてのチームの動かし方はまだまだ不甲斐ないと感じています。ビジネスとしてのマーケティング力も、数字を読み解き実績に繋げていく知識や経験もまだまだ不足しています。

     

    さまざまなビジネスモデルや他社のサービスを勉強してスキームを理解するなど自分の引き出しを増やす作業は常に取り組み続けていますし、先輩メンバーに細かく壁打ちをしてもらったり…日々成長せざるを得ない環境ですし、成長を止めてしまえば事業のスピード感にはついていけないとも感じています。

     

    自分が40代〜50代になった時にどんな仕事をできるかは、30代の間にどんな実績を出せたかで決まってくる部分が大きいと思っています。そして30代で作れる実績は20代の頃の経験で培われた結果でもあります。

    だからこそ就職活動の時には長期的な視点で「将来の姿」を思い描いた上で、オークファンに入社した訳ですが、まさに思い描いた通りの成長環境だったと実感しています。

    視座を高く、頭を使い続ける。

    ―――このコースの採用に関しては学生にも高い能力を求められると思うのですが…。

    荒井:今の経験やスキルは関係がなく、まずは成長意欲を強く持っていることが大切だと思っています。将来に向けて貪欲に、何事も吸収して学ぼう、成長しよう、というスタンスがあればスキルは自然と身に付くのかと思います。

     

    ただ、ロジカルに物事を考える頭脳は必要だと思っています。

    一般的な会社の新卒であればある程度安定した事業やノウハウがある場所で経験を積み着実な成長を積みます。

    一方でこの選考で選ばれた学生は服部のようにまだ事業自体立ち上げフェーズの、やり方を模索している環境で、自ら考えていかなければいけません。

     

    具体的に今何が課題なのか、どう解決すれば良いのか、数値やデータをもとにして自ら解決していくという仕事のやり方になります。

     

    一見厳しそうに感じるかもしれませんが、早くから頭を使い、成功体験、失敗体験を積むことで、ビジネスアイデアの創出力、事業立ち上げの実行力、デジタル領域の知見、プロジェクトマネジメント能力が身に付きますので、どのような環境であっても活躍でき、事業をリードできる人材に早期になれると思います。安定した環境に10年いてもこのスキルは身に付かないと思います。

     

    服部:プロジェクトをマネジメントしていく立場にはなるので、例えばサークルの部長でも、バイトの企画を担当したでも、何かそういう経験を経て楽しいと思えた人は向いているでしょうね。

    新規事業に関わるなかで体感したことですが、本当にカオスな状態になることもあります。そんな時に自分の中でひとつ大切な軸を持っておかないと、心が折れてしまいそうになりますから。私の場合は、簡単に言えば自身の成長意欲ですが、それは別に起業、経営人材になることや、お金のためだっていいんです。強い目標のために懸命に頑張れる人が入ってきてほしいと思いますね。

     

    荒井:ちなみにオークファンには国内最大級である程度規模が大きい事業から新規事業まで多様なフェーズの事業がありますし、その中にも複数のビジネスモデルが存在していますから、転職することなく色々な事業を経験できる環境があるので、「起業したい」「事業をリードできる人材になりたい」という方にとっては非常に良い知見が身に付くと思います。

     

    服部:組織の中ではどうしてもモチベーションの差から、自分自身と同じような高い熱量を持って組織が機能しないことも発生します。それを巻き込んでいくのもマネジメントの技術ではあると思うのですが…そもそも組織全体のことを考え、成果にこだわりたいという意欲を持っている人たちと働きたいですね。

     

    ―――ありがとうございました。

    服部&荒井:ありがとうございました。

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