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「せっかくいい広告を作ったのに、まったく広まらなかった……」
「いざPRとなったら、PR会社が出てきてよく分からないままに終わってしまった……」
企業のこうした悩みを解決するのが、「クリエイティブPR」です。
「クリエイティブPR」とは、広告とPRを掛け合わせたハイブリッドなコミュニケーション手法のこと。
企画の段階からメディアに取り上げられやすい文脈を作り、そこにクリエイティブの力を掛け合わせることでメディアや生活者の間での情報拡散が加速するような話題になる広告 / モノが売れる広告を創り出します。
でも「そもそもPRって何をするの?」といった基本的な疑問も多いはず。
そこでこの記事では、初の新卒採用を発表してSNSで話題にもなっている、「クリエイティブPR」の概念を提唱する株式会社神谷製作所・神谷準一社長のお話から
- PRとは何か?
- 広告とPRの違いとは?
- 今の時代に求められるPRとは?
など、PRと広告の基本的な構造理解を通して「クリエイティブPRとは何か?」を紐解きます。
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※この記事は、「博報堂ケトル出身のPRディレクターが教える「クリエイティブPR」とは何か?~イベントレポート」をシンアド就活用に再構成したものです。
Profile ◆神谷準一(株式会社神谷製作所 代表取締役) 2004年博報堂入社、PR戦略局に配属。2009年より博報堂ケトル。2016年9月、神谷製作所設立。博報堂ケトルでは、PR出身者ならではの広報スキルと広告・デジタルをミックスしたキャンペーンディレクションを行う。2005年ソニーエリクソン社の音楽ケータイによる「Deftech同時多発LIVE」でFuture marketing Award受賞・カンヌ広告祭ファイナリストになるなど、国内外の受賞多数。 |
神谷製作所とは?
神谷製作所は、2016年9月に設立して、PRとクリエイティブの力で「未常識を、新常識に変える。」会社ということを宣言しています。
今は非常識であったとしても、近い未来に世界に良い変化をもたらす未常識を応援したいので、「未常識」の声を大きくして「新常識」に変えることで、多様性に満ちた豊かで刺激的な世界を作りたいと思っています。
例えば、LGBTという概念がありますよね。
10年くらい前までは存在しないように言われていましたが、もっとマジョリティの意見にしようと思った時に、大学教授から意見を得て確からしさを付与したり、実際にアンケート調査をして20%の人がLGBTであると、数字として表してメディアに報道してもらったりします。
今はマイノリティーの意見かもしれないが、それにどんどん確かさを与えていって大きな声にしていくというのが、PRやクリエイティブは得意だと考えて、こういったミッションを掲げています。
体制としては、様々なメディアや手法を立体的に組み合わせた「統合型コミュニケーション」のプランニング/プロデュース機能と、メディアとのセッション機能を内製化(外注せず社内でやっていること)しています。
「1つの会社内で完結している」というのが、企画のクオリティを上げるために必要だと思っているからです。
これは、博報堂のPR戦略局在籍時には戦略を作るだけで、メディアと常に接点を持っている人がいなかったという体験が元になっています。
メディアアプローチはPR会社に委託していたので、本来ならメディアの方から学べるであろうメディア編集者・記者ならではの視点や報道現場の臨場感、手触り感などがどこか希薄に感じていたのです。
「ワークウェアスーツ」の成功事例
ここからは、実際に手掛けた仕事を通じて、「クリエイティブPRとは何か」をご紹介していきます。
以前私たちが手掛けたお仕事で、「世界初スーツ型作業着 ワークウェアスーツ」というのが話題になりました。
清掃業や建設業の人達がユニフォームをこれに変えるとか、法人単位で購入してもらえるといったことを狙った商品です。撥水性が高くて伸縮性もあり、ジャージ素材の高機能スーツみたいな感じですが、あえて作業着だと言い切っています。
これをよく「3K(=きつい、汚い、危険)」と揶揄される業界の<働き方改革>という時流に絡めてPRしました。
なぜスーツ型作業着にニーズがあるのか?を言うために、建設業界や清掃業界の総務・人事の人たちにアンケート調査をして「作業着のイメージが離職率を上げている」といったことを導き出して、その調査結果を元に<ワールドビジネスサテライト>に取り上げてもらい番組内で応援してもらったり、<ねとらぼ>で論争を巻き起こしたりして、1日100件以上の新規のお問い合わせを頂くことに成功した事例です。
そのお問い合わせから、三菱地所の高級マンションの管理人の方たちが、ワークウェアスーツを正規の制服として採用したりしています。
このように、私たちは、ただ話題になるだけのキャンペーンやキーワードを提案するのではなく、売り上げや結果にコミットするような戦略をやっていくのが得意です。
「クリエイティブPR」とは? 3つの「セイ」
クリエイティブPRは、私たちが作った新しい概念で、いわゆる「広告クリエイティブ」と「PR」のスキルを合わせたものです。
「話題になる広告」や「モノが売れるPR」(※普通なら「話題にする」のがPR、「モノを売る」のが広告)というように、「PRの概念を掛け合わせた広告」を作っていくと、よりうまくいく確率が高いのではないかと思います。
そして、クリエイティブPRという考え方は3つの「セイ」を大事にしています。
- What to Say
- How to Say
- ニュース性
1つずつ、順番に見ていきましょう。
「What to Say」は、商品の「何」を言うかです。例えば、お茶の味を言うのか、パッケージデザインを言うのか、お茶が飲みたくなる瞬間を言うのか……
「一体何を言うのか?」が、最初に考える時に整理するポイントの1つです。
次に、このお茶の甘みを言う、甘みが市場に一番活きる、と決めたとします。
次に考えるのは「How to Say」で、「その甘みをどう言ったら世の中の人たちに一番通じるのか」を考えます。色々な言いかた、色々なデザインのしかたで甘みを伝えていきます。
このように、基本的に広告クリエイティブを作ることは、「What to Say」と「How to Say」をどう研ぎ澄ませるかが一番のキーポイントです。
これは総合広告代理店などで10年くらいかけて、1人前を目指して磨いていくスキルですが、多くの広告制作のクリエイター達に圧倒的に欠けているのが、最後の「ニュース性」です。
これが欠けると、<言っていることは合っているし、表現的にも面白い、だけどまったく話題にならない……>といったことが起こってしまう場合が多いのが、実際の現場です。
だから企画の最初の段階で「What to Say」は何か、「How to Say」は何か、そしてそこにTV番組やWebニュースで取り上げられるようなニュース性があるのかをチェックしていく事で、企画の精度は上がっていきます。
丸亀製麺のハワイ入社式
3年くらい前の話ですが、丸亀製麺を運営するトリドールという会社は、その時点で50以上のM&A(企業買収)を繰り返していて、グローバルで外食事業を経営されていました。
ただ、もっとグローバル展開していきたいのに知名度が低いせいで、「優秀な人材を知名度の高い同業他社にとられてしまって、英語が話せる幹部候補クラスの学生が集まらない」という採用上の悩みがありました。
だから、知名度の低さをなんとかしたい、というのがこの時の課題でした。
そこで当時、全丸亀製麺の中で一番売上が高かった、最初の海外店舗ホノルル店で入社式をやろうということになって、日経新聞の1ページをまるまる使った「入社式はハワイでやります」という新聞広告を、ドーンと出しました。
新聞広告はゴディバの「義理チョコをやめよう」キャンペーンみたいにSNS拡散の起点になることが多いので、狙い通りYahoo!ニュースが取り上げてくれて、新卒採用エントリー数が10倍くらいになりました。
日本時間の3月31日にワイキキビーチでハワイ入社式を本当にやったのですが、このPRはここで終わりではありません。入社式の映像を、すぐ民放各局に送りました。
何故だかわかりますか?
三菱トンボ鉛筆は鉛筆削り入社式、鳥羽水族館は水中入社式、といったように、4月1日はテレビ各局が「面白入社式」という特集を組むのが恒例となっていて、その面白入社式の一つとして報道してもらうために、あえて前日にハワイで入社式を行なって映像を送ったということです。
この新聞広告を出すところから始まる一連の流れが、クリエイティブPRの特徴です。
この場合の3つの「セイ」を整理しましょう。
What to Say | 外食グローバル企業トリドール |
How to Say | 日経新聞でお堅い媒体映えするようなグラフィックで目立たせる |
ニュース性 | 入社式という時事性 |
日本では催事物が報道として取り上げられやすいので、4月1日の入社式報道を狙ったのですが、ただ広告を出しただけで終わらせない情報の流れを「What to Say」、「How to Say」、「ニュース性」と作っていくのが、企画の精度が高まる方法だと思っています。
そもそもPRとは?
最後に、あらためて、「PR」とは何か?を考えます。
PRは「パブリックリレーションズ(Public Relations)」の略で、直訳すると「公的な関係」になります。日本では「広報」とか「コーポレートコミュニケーション」と訳されることが多いですが、適切な訳語がないのが現状です。
このパブリックリレーションズという概念は、「企業というものが存在するときに、どのような人達に情報を発信して良好な情報関係を築くべきか」というところからスタートします。
会社が存続するために、顧客に売って売上を得る、いわゆるマーケティングはもちろん必要です。
しかし、マーケティングのコミュニケーションだけではやっていけないところがあります。
例えば、仮想通貨取引所は金融庁との綿密なやり取りが必要ですし、製造業は工場が排出する排気ガスを環境省とやり取りする必要があります。
政府自治体に限らず、NPO法人とやり取りする場合もありますし、競合他社とも情報関係を築かなければいけませんし、もちろん、従業員ともミッションを共有して、会社のあるべき姿を共有しながら進まないといけません。
協力会社の人たちや上場企業と株主とのコミュニケーションは、IRと呼ばれるところですね。
採用の領域も同様です。
採用は、マーケティングのコミュニケーションだけでは全くやっていけないというのは、想像がつくのではないでしょうか?
会社にとって重要なあらゆるステークホルダーに連絡を取って、情報関係を改善していくというのも、大切なPRの仕事です。
広告とPRの違い
広告もPRも、チャンネルは一緒です。
例えば、ある企業の情報を、テレビを介して生活者に届けていく時に、広告会社がテレビ局の番組と番組の間の数十秒の枠を買って、自分たちで制作した映像(テレビCM)をオンエアしたら、広告です。
では広報PRは何かというと、その空いた番組の間の時間ではなく、番組そのもので取り上げてもらいます。その会社の業績が好調で、こういったCMでユーザーの好感度を上げてファンを獲得していきます、といった事を報道の中で言ってもらうのがPRです。
メリット・デメリットをいうと、広告的な手段の方が、企業が言いたい事をそのまま言えます。
PRは取り上げてもらう手法なので、どのように紹介されるかをコントロールすることはできません。
これは一番クライアント様と揉めるポイントですね。
ただし、第三者のお墨付きがもらえる事で説得力があって信頼度が増すというのは、PRの大きなメリットです。
テレビでは… | メリット・デメリット | |
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広告 | 番組の間の枠を買ってCMを流す | 言いたいことが言える |
PR | 番組そのもので取り上げてもらう | 第3者のお墨付きで説得力があり信頼性が増すが、メッセージは決められない |
企業が、声高に「この車は4WDがすごくて、高馬力で、なんとかだ」ってCMを打とうとも、この車のショールームに行列が出来て売れている事を報道してもらえれば、それはメッセージ(商品スペック)は伝わらないかもしれませんが、その車が実際売れている信頼性は伝わります。
こういった事が、説得力があるという大きなポイントになっています。
そして一般的なコストでいうと、比較的コストが安いのはPR的手法です。
テレビCMの場合は媒体費と制作費がかかって、テレビCMを東京で打つ場合には数億円ないと大した効果は出ないので、基本的には億単位で計上されます。
一方で広報PRの方のコストは、ほぼPRマンの人件費と、活動実費です。
これはどちらが良いという話ではなく、それぞれにメリット・デメリットがあって、基本的にはこれを掛け合わせて、同時に実施するのが一番メリットしては大きいと考えています。
企業に関する情報の多くは、ニュースから出ています。
PRについて、少しお分かりいただけたでしょうか?
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神谷製作所さんが行う【 広告とPRを掛け合わせたハイブリッドな手法「クリエイティブPR」】の魅力、その一部をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
神谷製作所は、いまもっとも注目されている、広告クリエイティブエージェンシーの1つです。
もしも興味がわいたら、<多様性に満ちた豊かで刺激的な世界を創る>ミッションに、あなたもチャレンジしてみませんか?
神谷製作所やクリエイティブPRについて、もっと詳しく知りたい方はコチラ!
⇒【 “クリエイティブPR”で、未常識を新常識に変える会社 /株式会社神谷製作所 】